組込みシステム技術に関するサマーワークショップ(SWEST1)
報告書

2000年5月15日
SWEST実行委員会
 

1999年8月9日から10日にかけて開催した本ワークショップの第1回について報告した い。

本ワークショップは、組込みソフトウェア技術研究会(CEST)、 組込み機器業界交流会Emblemとの共催で、

  • 大学における組込みシステムおよびその要素技術の研究の活性化
  • 企業における大学の研究成果の導入の促進
  • 企業の要求事項を大学側へ伝える場を提供
  • 産学共同の研究活動のきっかけを提供
  • 大学・企業間の人的交流の促進とそれによる創発的活動の場の提供
を目的として、ラフォーレ修善寺で開催し、大学の先生方、学生の皆さん、 企業のエンジニアなど80名を越す方々にご参加頂いた。人数バランスとしては、 大学側と企業側が半々程度であった。

また、開催に当たっては、社団法人 トロン協会、社団法人 情報処理学会の後援と、 株式会社 アドバンスド・データ・コントロールズ、エルグ 株式会社、CATS 株式会社、 日本シグナスソリューションズ、横河デジタルコンピュータ 株式会社、 社団法人 日本システムハウス協会の協賛を頂いた。 この場を借りて改めて感謝の念を表します。

本ワークショップは、下記に示すように、 二回の基調講演と二回×二並列の一般発表、そして、二回×二並列の分科会、さらに、 組込みシステムの分類を意図した全員参加のセッションと懇親会と盛り沢山で あったが、一方で、多少詰め込み過ぎになってしまった感もあった。

特に一般発表では、ほとんど発表だけで終了になってしまったものもあり、 "発表はきっかけのみで議論を主体にしたい"という当初の目的を達することが できないものも多かった。 また、分科会も多かった割には、一度に二並列しかなかったため、大人数が参加 してしまったセッションでは、あまり突っ込んだ議論が展開できなかった。 これら分科会やKJ法を使った組込みシステムの分類セッションなどを含め、全体とし て問題意識の共有の機会を得るという点では、それなりの成果があったものと思われる が、それ以上の議論をするための時間的余裕や的確な方向づけに問題があったと考えて いる。 SWEST2では、これらの点を考慮し、もう少しバランスのとれた日程を組みたいと考え ている。

以下、それぞれの項目について、簡単な報告を行う。 なお、参加者に対してはSWEST1の冒頭で述べたように、本ワークショップ第1回では、 実行委員についても、記録を取ることより議論に参加することを奨励したため、報告 にところどころ抜けがあるが、その点ご理解を頂き、ご容赦願えればと思う。

(更に、現状では、各項目について、各担当者の記録を並べただけになっており、文体 について統一性を欠いている状態になっています。ご容赦下さい。)

期日 セッション名
8/9 基調講演1

「組込みシステムの過去・現在・未来」
「イデオムレベルのソフトウェアデザインパターン」

松本 吉弘(大阪工業大学 情報科学部)

キーノートセッション「組込みシステムとその技術を分類する」

一般発表 A1「リアルタイム・オペレーティングシステム」
  • 「RAM内蔵ワンチップ・マイコン向けRTOS」
    小林憲次
  • 「リアルタイムOSのタスク切り出しパターンの体系化」
    川口晃(日本電気)
  • 「プロセッサの特徴を考慮した割込み機能の抽象化による組込みOSの移植性の向上について」
    砂川克志(奈良先端科学技術大学院大学)
一般発表 A2 「設計手法」
  • 「モーション系の動作とマイクロプロセッサの演算精度の相関について」
    藤懸英昭((財)九州システム情報技術研究所),
    安浦寛人(九州大学)
  • 「保護機構を持ったRTOS」
    安田吉幸(豊橋技術科学大学),
    今井和彦(宮城県産業技術総合センター),
    高田広章(豊橋技術科学大学)
  • 「タイミングチャートを用いたデバイスドライバ設計支援に関する研究」
    島崎要爾,大原茂之,落合昭(東海大学)
分科会 B1 「組込みシステム 技術以外 言いたい放題」
分科会 B2 「組込みシステムのテストとデバッグ」
アドバイザリ委員会 ミーティング
8/10 基調講演2

"An Embedded System on a Chip"-システムLSI時代の設計技術-

安浦 寛人(九州大学大学院 システム情報科学研究科)

一般発表 C1 「設計開発支援・ツール」
  • 「組込み向け制御ソフトウェア設計手法『データ回路方式』の提案」
    水谷高康(デンソークリエイト)
  • 「次世代ソフトウェア開発支援ツール」
    浅井茂昌(アイシン精機),
    和田錦一,稲森豊,佐野範佳(豊田中央研究所)
  • 「マイコンソフトウェア開発の全工程を支援するデバッグ環境」
    永田昭二(松下電器産業)
  • 「ITRONデバッギングインターフェースに関して」
    若林隆行(豊橋技術科学大学),
    山中勝(日本キグナスソリューションズ),
    高田広章(豊橋技術科学大学)
一般発表 C2 「アーキテクチャとコデザイン」
  • 「組み込みシステムのためのミドルウェアアーキテクチャ」
    中島達夫(北陸先端科学技術大学院大学)
  • 「Dモデル実現のために」
    渡辺政彦(CATS)
  • 「A Hardware/Software Codesign Suite for Retargetable System Development」
    Eko Fajar Nurprasetyo(九州大学)
  • 「組み込み用Javaシステム/Javaチップの開発」
    四井賢一郎,村山敏清,蘇隆,瀧和男(神戸大学)
分科会 D1 「組込みシステムの開発手法と開発ツール」
分科会 D2 「コ・デザインの現状と未来」
付録 終了後のアンケート結果

最後に、SWEST1全般において多岐に渡って有益なご助言をいただいたアドバイザリ委員の皆様に感謝いたします。

アドバイザリ委員会(五十音順)
 今井 正治(大阪大学)
 大原 茂之(東海大学)
 釜江 尚彦(イメージ情報科学研究所)
 坂村 健 (東京大学)
 田丸 喜一郎(株式会社東芝)
 塚本 享治(東京工科大学)
 徳田 英幸(慶應大学)
 福田 晃 (奈良先端大学)
 松本 吉弘(大阪工業大学)
 門田 浩 (日本電気株式会社)
 安浦 寛人(九州大学)