キーノートセッション "組込みシステムとその技術を分類する" 〜組込みシステム技術の棚卸し〜 本セッションは、 「人によって捉え方が様々と思われる、 『そもそも組込みシステムとは何か/どんなものか』ということに ついて、議論のベースとなる共通の認識を作ってみたい」 というモチベーションの元、考え出されたセッションである。 他の目的として、 「せっかくこれだけの人が集まるのだから、全員で何かやってみたい」 「参加者間の議論やコミュニケーションのきっかけになってほしい」 といった部分もあった。 方法としては、トップダウン的に、"こういうものだ"と断定すべく議論 しても発散するだけであると考え、また、多人数であることのメリットを活 かそうと考え、KJ法を用いて、ボトムアップ的に分類/整理/系統的把握を 試みることにした。 セッションは、A,B,Cの3グループに別れ、まずは、各グループ内での 自己紹介などを行ってから、各グループは作業にとりかかった。 KJ法の手順に従い、 (1) 各自が1カード1項目の形で書いて来た"組込みシステムの特徴"以外に、 さらに、数十分かけてカードを追加する (2) カードをまとめて、小分類,中分類,大分類と、作って行く (3) 複数の指標からなる一つの系統図を仮定して、大/中分類をマップして いく(場合によっては、分類を指標と一致せざるを得ないかもしれない) そして、可能ならば、第2段階として、 (4) 考え得る組込みシステムの各々が、その系統図の中でどのような位置 にあるか、或は、どのような指標値の組合せになっているか (或は、 どのような位置にはないか)をマップしていく (5) マップされた結果を見て、組込みシステムの全体像を推し量る という形で作業を進めた。 しかし、実際には、時間が足りず、どこのグループも(2)〜(3)程度で終了 してしまったようである。 即ち、組込みシステムに依らない、一般的な指標群が得られたのみで、 それらが実際にどういった値だと、組込みシステムに該当するのかまでは 達しなかったようである。 A,B,Cの各グループで得られた、大分類-中分類の状況は下記のようなもの である。なお、カード数は、各グループとも、数百枚に及んでいる。 グループA: 開 → 要求(ユーザ,コスト,環境) ← 発   ↓            背 環 → 実装(設計,製造,テスト)  ←     ↓            景 境 → 供給(保守,運用)     ← グループB: コスト軸 信頼性軸 規模軸(利益) 個数軸 寿命軸 複雑さ軸 グループC: リソース制約(デバイズ,LowPower,メモリ,大きさ) 時間制約(リアルタイム性,イベントforSW,割り込みforHW) 人(技術者,設計手法,設計,Reuse,コスト制約,イメージ) OS(リアルタイムOS,OS,要求仕様) 信頼性(Noise,連続運転,信頼性) 開発環境(Debug,言語,コンパイラ,ライブラリ,ハードとソフト,開発環境) 結果としては、組込みシステムの分類/系統的把握という本来の目的までに は至らなかったが、「他の人がどんなことを考えているかを理解できてよかっ た」等、予想以上に好評で、少なくとも参加者間の意志疎通には、役だったよ うに思われる。 可能ならばSWEST2において、第2段階の(4)や(5)まで進め、組込みシステム の全体像を見てみたい。