セッション S2-1-1 テーマ:「行列の出来る 組み込みシステム開発ワークショップ & パネル・ディスカッション2006 〜World Embedded Software Classic In SWEST〜 Part I : SWESTでしか聞けないスペシャルワークショップ」 司会 :中村 憲一(米 Upwind Technology) 講師 :杉浦 英樹(富士ゼロックス) 西 康晴(電気通信大学) 佐藤 洋介(デンソー) 橋本 隆成(Hashimoto Software Consulting) 川口 晃(アクティビティ・デザイン) Nalin Advani(ソリッド) 藤懸 英明(ロジテック・リサーチ) 安部田 章(九州日立マクセル) 日時 :2006/07/14 8:50-10:30 会場 :EF会場 席数 :165 参加者:60人程度 -------------------------------------------- 概要: 3コマぶち抜きのセッションのPART1, 組み込み業界の世界動向についてのチュートリアルの前半. 講師4人が組み込み業界の世界動向について語る. # 時間不足のため,藤懸さんのチュートリアルは午後になりました -------------------------------------------- 内容: 8:54 #予定から4分ほど遅れて開始. 中村: 今年は世界的視点で組み込み業界を見ていく. 英語タイトルは,WorldBaseBallClassicにちなんだ チュートリアル1,2では, 途中の割り込み質問も受け付ける チュートリアル1,2を聞いてアンケート提出をよろしくお願いします. 講師紹介. 橋本,佐藤,藤懸,川口,西,杉浦,安部田の順に自己紹介. Nalin Advaniについては中村が紹介. 9:05 佐藤: 車載ソフト開発の現状と課題と, AUTOSARを中心とした車載ソフト技術動向の紹介と COTS型開発以降に向けての課題導出について. 車載LANの複雑化について. 車両システムは,ECUが連動して動いている. その中でどう品質を管理するかが大きな課題. それに対して,欧州でとった戦略は, 車載ソフトの標準化. ・標準化された部品の組み合わせ開発 ・AUTOSAR AUTOSAR:車載ソフトウェア等の共通化を目指して設立されたコンソーシアム パートナーシップ構成について紹介. AUTOSARの戦略: VFB(Virtual Function Bus):ハードウェアやネットワークリソースを仮想化したバス VFBを使い,車載システムを仮想化し,開発を行なう. RTEによりHWを隠蔽することで実現している. 日本人は標準化に弱い 50年前の事例:対戦中の日本の戦闘機では,機種ごとに専用工具が必要だった. 単体性能は高いが,共通化,標準化については弱い. これは現在の車両業界にも言えている. 対戦では,標準化による大量生産により米が勝った. 車両業界でもそうなるのではと懸念している. 今後の課題: 今後,AUTOSAR等により,外部調達した部品を自社製品に組み込む時代が来る. 日本の業界がそれになじめるか...? 9:22 中村: 質問は随時受け付ける. 質問者A: AUTOSARの狙ってる範囲 佐藤: 通信系のHWの規格化のみ. 質問者B: 日本もAUTOSARを使わざるを得ないと考えているのか? 佐藤: 日本でも部品の外部調達が始まっている. AUTOSARに従えば,日本の会社が作ったコンポーネントも日本海外でも売れる. つまり,日本にとってのビジネスチャンスでもある. 9:29 安部田: みんなで考えよう.マーケティングの感覚について. 目的: トップマネージメントレベルでの経営戦略やビジョンの欠如が問題になっている. ・企業全体の目標達成能力の低下 ・従業員の働く意欲の低下 開発者が商品戦略を理解することが重要 商品戦略に合致した取り組みを行なう PRESIDENT 7/17の記事の紹介 ・日本人の4割はイヤイヤ働いている. ・日本では上司の評価が低い 参加者への問いかけ. 自社の経営戦略が従業員に伝わっているか? #ごく一部を除き挙手者なし 企業の戦略を意識して業務に取り組んでいる方? #挙手者なし 開発者は経営戦略や商品戦略を理解する能力が必要ではないか. 日頃から市場動向,他社製品の調査,商品トレンドなどの情報を収集しているか? 商品の機能提案を積極的にしているか? 時間がいつの間にかなくなっているのでまとめに入る. # 9:50 製品仕様の策定プロセス: ・コンセプトの創造 ・戦略ゴールの抽出 ・機能要求の具体化 ・技術課題の抽出 の繰り返し, 開発者はどうかかわるべきか? 下の3つ. まとめ 可発者が当事者意識を持って仕様策定に携わることが重要. 戦略思考を鍛えることが重要 9:53 質問者A: 企業戦略について話した時の会社員の反応は? 安部田: みんなに企業戦略を考えてもらったが出ない. こちらからだし,各員それにどう貢献するかレポート,発表させた. それによってみんなの意識は向上したと考える. 中村: ぜひ他の方もアンケート用紙をつかって質問をだしてください. 9:57 西: 参加者への問いかけ: 大学にいる方? フーンて聞いてください. 会社にいる方? その中でHWやっている方? あなたたちが対象です. ソフトのバグに苦しんでいない会社はない. 日本業界は品質にアドバンテージがあると言われているが,私はそうは思わない. ソフトは品質が低くて当たり前と思う方? #挙手者なし お酒飲ませると語るでしょ? 品質を上げるとコストがかかると思う方? #複数名挙手 ハードの品質管理はソフトに適用できないと思う方? #複数名挙手 ソフトは品質が低くて当たり前か? ・ソフトウェア屋はハードウェア屋に憧れている. 昔はQCを展開しようとしたが定着しなかった. HWの品質管理のような手法をSWに適用しても使えないのが当たり前. アジャイル−トヨタ式をホントに理解して導入しているか. ・ソフトウェア屋はハードウェア屋より甘えている HWだって不具合0にはなっていないが,不具合0は無理だなんて言わない. SW屋はすぐバグ0なんて無理だと言う. ・もう一度,ハードウェア屋のやっていることをよく見て考えたほうがよいのではないか. ・ソフトウェアのプロセス改善の部隊は, ハードウェアの改善の部隊は心が通じ合っているか? 全社はTQMやシックスシグマ,SWはCMM... ・品質を上げるとコストが下がるといわれたら,もちろん!と返せるか? ・確かに,品質を上げるとコストがかかる,ように思える ISO9000sは正しく適用すればホントに品質が上がるが,なかなかうまくいっていない. チェックが大事だが,性悪説型マネージメントで,日本企業にはなかなか合わない. ・なぜコストがかかっているのか? 手戻りでない前向き作業の割合は? #参加者の多くが5割と挙手 手戻りが原因. だからこそ,品質を上げればコストが下がる. 典型的な2つの負けパターン ・コストダウン優先によるデスマーチ 安物技術の導入→品質の低下→手戻り →残り予算減少による更なる安物技術導入のプレッシャーの増大 ・納期達成優先によるデスマーチ 手戻りを減らすには? ・完全な仕様を書く!フォーマルメソッド! 10年で実用化と30年前からずっと言われている. HWで言うと,3D-CAD上で全てバグ取りをするイメージ ・手戻りを防ぐには泥臭い改善が重要 不具合の未然防止 作業無駄の低減 泥臭い改善を継続する意気込み,品質文化 −モチベーションをどう保つか. 改善にはレベルがある. 一番高いレベルでは, 問題点の根本分析やメカニズムを水平展開し,未然防止することをしている. ハードの品質管理はソフトに適用できないか? そのまま適用するのではなく,その思想を汲み取り,ソフト用に読み替えることが重要. ハードの品質管理の読み替えについての事例:不具合分析について ・自分たちが作りこんだ不具合の傾向や原因をちゃんと把握しているか. ・不具合の傾向把握,原因分析,パターン化が重要 −フィードバッグ〜 −不具合モードクラスツリー −コンカレントエンジニアリング 等の利用. テスト設計は前倒しすべき. いろいろな取り組みがある. ・フォーカスモデル ・ムダパターン取り 結論: 日本の組み込みソフトは品質で勝てるはず. 日本の客の目が厳しいから. 以下の3つを意識する事が大事! ・ソフトは品質が低くて足り前じゃない ・品質を上げるとホントはコストが下がる ・ハードの品質管理はホントはソフトに適用できる 10:30 中村: 藤懸さんのチュートリアルは午後に回す. 質問者A: HWの不具合をSWで対処することがある. 工程をまたいだ問題をどう防いだらよいか? 西: 個別の対処の仕方は事例を見てみないとわからない. SW屋さんがHW屋さんに議論しに行ったがよい. システム部門を作ることはなかなかうまくいかない. 西: いつ何時,どんな質問でも受けるゾ!