「コーチング入門
       〜子育てから学ぶ,部下育て,上司育て,ハッピーアドバイス〜
	     コーディネータ: 山本 雅基(名古屋大学 NEXCESS)

2006/07/13
分科会1 
S1-4-3
E会場:20:30-22:30

参加者:22名(開始時)

○コーチング
・コーチ
監督<スポーツ>:coach
監督<映画>:director
コーチングとティーチングの違い
コーチングとは,自分で伸びることを助ける

※ティーチャー
ものごとを教える.

○頭では分かるけど
・コーチング技術
頭では分かるけど,ハートで感じない,肝に落ちない
だから,気持ちが伝わらない,迫力がない
⇒自分で行動しようとしても,できない

今宵は,”ハート"で感じよう!!!

○今宵の切り口は家族
日本の良さのひとつは,家族主義.
従業員の家族へのサービス(福利厚生)の充実をうたう会社が多い
⇒それは,本当の家族主義ではない.

発想:親が子供を育てる関係を,上司と部下の関係に適用する
子育てのノウハウを導入しよう!!!

◎タイムスリップ

○子供のころの思い出
昭和何年生まれ?
幼稚園のころの遊び
などを振り返る

○昭和33年生まれの僕
以下の写真を紹介.

・名古屋のテレビ塔
・ガソリンスタンド(日本石油)
エネオス,新日本石油ではない

○昭和30年から40年代
・新幹線
・今より寒かった(名古屋の積雪の写真)
・小学校の授業風景(木の机,三角定規大好き!)
・怪傑ハリマオ(風呂敷頭巾大人のサングラス)

○昭和33年生まれ
・お母さんといっしょ
・ただ生まれてくることが幸せ(子供のころの写真)
今はつまらない!?

○子供に恵まれ,子育ての経験
子育てに隠れている共通のルールを見出す

コーディネータ
子供に対する発言とそのときの子供の反応について議論しましょう

参加者A
 「パパまた遊んでね」という子供の発言を紹介.
 自分は,子供のころは親に遊んでもらったことがない.
 子供と遊んでいるかを他の参加者に尋ねる.

参加者B
 33年生まれ
 出張が多く,子供が小さいときから週末くらいしか接することができない
 子供と同じことをやってみる(自転車,一輪車,マウンテンバイク,サッカー)
 時間割を決めて,子供と接する時間を作る
 相当の親バカ!?    

参加者A
 それは自分の親の行動と同じか?

参加者B
 違う.親は仕事ばっかりだった.

参加者C
 子供と同じことを楽しんでやっている
 酒を飲んだ後は,子供「うざい,くさい」と発言
 一般的に親は「汚いもの」だと思っている

参加者D
 子供から「汚いもの」扱いされていない
 時間を決めて子供と接することない(適当な時間)
 しかし,キャンプは行った
 長い休みをとって旅行にいく(子供:姉,弟)
 「うざい」発言の原因は,コミュニケーション不足が原因ではなかろうか

○昭和30年代
・手作りとんとん済もう
・おばあちゃんと行った保津川

参加者E
 子供とのコミュニケーション不足の解決作
 ⇒あきらめる
 子供との関係は逃れられない(上司,部下との関係とは異なる)
  
参加者F
 会社の方針どおりに社員を使う
 社員は捨てることができる
 ⇔しかし,子供は捨てられない
 人間としてみると,会社の方針に従った上で,「こっちに育てたい」と考える
 子供は,特徴を育てる

コーディネータ
たとえ自分の子供が勉強ができなくても,結局子供に勉強をさせる
自分の子供に対しては,習い事などいろいろやらせるのが普通?

参加者D
 親父くさいという発言は「ふつう」である
 自分の子供のころは,母親とあまり会話がなかった
 今は4人の子供がいる
 コーティングとティーチングの使い分けは,”自我”の問題
 自我がなければ(小さい子供),力ずくでティーチング
 自我があれば(部下),ほっておく.コーチングで大丈夫
  つまり,相手に応じて使い分ける必要がある
  
コーディネータ
 自分の子供は,自分に自信がない
 ⇒問題行動の原因となりうる.親に甘えた行動を示す.
 自分(親)が弱気な行動を示すときはないか?
 ⇒あまりない・・・
 子育てで困っていること(自分が子供のころの経験)を語りあう 

参加者H
 週末には,父親と,母親と子供の空間に分かれる
 家族に入り込めない父親の姿か?
 目に見えない壁を感じる

参加者D
 それは,やはりコミュニケーション量が足りないのでは?
  
コーディネータ
子供とのコミュニケーション時間の問題を,会社に当てはめると?

参加者I
なにがあった?どうした?っと質問調(尋問)になってしまうのを反省している

参加者I
 話をしたいときは,相手は話をしたくないことが多い
 ⇒関係がうまくいかない原因か?

コーディネータ
 部下から尊敬されたいという気持ちがあった
 その結果,部下の質問の答えを先回りしていた.自己満足.反省している.
 ⇒コーチング観点からは,間違ったやり方だと感じた

参加者J
 自分では,教えたくもないし,教える気もない
 行動のきっかけは,やりたいことをイメージする
 人間は,イメージしたことを行動に示す
 これは,会社(組織)での行動にも共通する話だろう
 ⇒つまりイメージの共有が必要だ!

コーディネータ
 家族関係にも同じか

参加者K
 家族とのイメージ共有は無理.

参加者L
 自分の親父は,飛行機が好きだった.それを一緒にやった.
 その影響を受けて,自分も飛行機が好きになった.
 これを,自分の子育てに導入できなかった(自分の好きなことを子供とやる)
 忙しいことを理由にしてしまう.
 ⇒自分まで理系だったが,子供は全員文系に.

コーディネータ
 リーダシップ論
 同じ目標に向かって,組織を動かす
 まずは,リーダーが行動を示す

(飛行機を作っている映画を見せる,「ALWAYS」)

コーディネータ
 親との思い出を語ろう!

参加者B
 自分の親は怖かった(あまりしゃべらない)
 しかし,尊敬していた
 父親は勉強していた(出世したわけではない)
 母親はそんな父親の悪口を言わなかった
 ⇒コミュニケーションさえあれば良いという意見には疑問
 行動をみて,学ぶ場合もあるのでは?

参加者D
 親を,自分が越えるべき対象と捉えるか否か
 自分は親を尊敬していた
 親が頑張っている姿を示すことが大切だろう
 会社でも同じ.頑張っている人はえらい
 自分が尊敬している人からの意見は素直に聞けることに繋がる

コーディネータ
 ”尊敬される”ということがコーチングに繋がるのではないか.

参加者M
 貧しい時代だから,必然的に親の大変な姿を見せられた(洗濯を例に)
 今は豊かなので,そのような姿を見せるのは大変なのでは?      
 自分が子供のころと,今は状況がことなる

コーディネータ
 自分たちが便利な時代にしたことが,逆に上司と部下,親と子供の関係を崩したのか?
 生活に必死さがなくなっている
 ⇒親,上司の必死な行動が見えにくくなっている

参加者N
 親や子供のやることがなくなっているのでは?
 時間の使い方に無駄が.

参加者D
 便利にすることは,ユーザの思考を阻害していてしまった(考えなくても使える)
 今は,うまく動かない製品に対しては,直すのではなく,製作者に文句をいう

参加者J
 思考をすることは,感覚,無意識でやっている気がする
 考えるのではなく,感じろ!
 人間がひらめくためには,考えるな.
 (脳科学の話を持ち出す)
 「頭を使え」は間違っている

(分科会スライド資料を配る)

◎子育てに学ぶ

○僕のお気に入り!明端先生の子育ての本
 子育てハッピーアドバイスの本の要約を紹介

○子育てと部下育ての類似点
 先の要約を,部下に当てはめる

○基本は「自己評価」を高めること
 子供に心配な症状が現れるのは,しつけ,わがままが原因ではない
 自己評価がうまくできていないことが原因だ!

○自己評価は大人でも大切
 自己評価が悪いときには,大人でも,以下のようになる場合がある
  やる気がでない
  面白くなくなる
 自分は仕事を受注できなかったときにこのような経験をした
	      
○話を聞く
 話を聞いてもらえることは,自分は大切にされていると感じ,自己評価が高くなる
 話の聞き方をもう一度振り返る
 ⇒コーチングのテクニックに繋がる

 技術
  相手に呼吸をあわせる
  あいづちを打つ
  相手の話す時間よりも,自分の話す時間は短くする

○話をさせる
 話を聞くためには,話をさせるテクニックが必要
 話を聞く体勢になっているか?
 
 技術 
  スキンシップが大切
  話の場所を考える

○受け止める
 話を受け止める.心で受け止める.
 尊敬されたい,バカにされたくないとは考えてはいけない.

○「がんばれ」より「がんばってるね」
 がんばっているときに,「がんばれ」といわれると,余計つらくなる
  これ以上どうすればよいのか?と感じる

 技術
  ほめて,「頑張ってるね」と添える
  甘やかすとの境界線は?

○みんなの成長が私の喜び
 みんなが自分を追い越していくことが,私の喜び,使命である
 そう思えない人は,永遠にコーチングできない
 リーダーにもなれない

○「ありがとう」を出し惜しみしない
 「ありがとう」は自己評価を高める基本.

○「ありがとう」は言った側も気持ちいい
 「ありがとう」というと自分も気持ちよくなる.

○徹底的に甘えさせる
 意欲のもとは安心感.
 不安を感じたときには,戻れる場所,環境を用意しておく

 技術
  相手のペースにつきあう
  信頼する
  時間を費やす
  叱らない

○仕事の自信をなくしてしまった部下へ
 自己評価を高めるためには,コーチング
 会社で甘えさせるには
  上司の親心
  バックアップ体制
 肝をすえさせる
  部下に行動させる.

○上手に叱る
 上手に叱れば,自己評価は落ちない
 技術
  叱るもとを明確に
  認めて,叱って,認める

○味方に弾を打たない
 叱り方が下手なのは?
  自己愛しかない
  余裕がない
 叱り方が下手なために,部下をつぶしていませんか?
 三途の川を胸をはってわたれるか?
  愛したか
  勉強したか
  !会社での実績なんて問われない

○愛の有無を謙虚にチェック
 愛に立脚して指導しているか?
 愛を目指して仕事してますか?
  両親から受けた愛を思い出しましょう
 愛があればコーチングなんで簡単

 ⇒2006年SWEST 愛ある組込みシステム開発

 (子育てハッピーアドバイスの本を薦める)

コーディネータ
 女性は旦那に読ませるべき
 男は妻の大変さが理解できる
 ⇒読んでいると,コーチングへ繋がる点を感じた

 上司の愛を感じたか?

参加者O
 あえて反対意見
 憎まれ役になれない上司はダメだという話もある
  
参加者P
 憎まれ役になることが愛である

(戸塚ヨットスクールの体罰問題の是非の話へ)

コーディネータ
体罰はダメ.
(体罰のマイナス点を本から紹介)
体罰を肯定する人は,体罰経験者が多いが,体罰そのものの教育効果はない.
つまり,同じことを教えるためには,体罰でなくても良い.
体罰を受けている本人は,やはり体罰は嫌だったはず.

参加者Q
 言葉で分かる人と,カラダで分かる人がいる
 相手のタイプを見極める必要がある

コーディネータ
 愛は決断と行動である

◎参考文献
子育てハッピーアドバイス
明橋大二著
一万年堂出版