**********************************************************************
セッション:s4a
テーマ  :5G & Beyond 〜その先へ〜
講師   :高瀬 英希 東京大学、菊地 俊介 さくらインターネット
日時   :2022/09/02(金) 12:30~13:40
参加人数 :名
**********************************************************************

東京大学 高瀬 英希さんの発表
----------------------------

■概要
 5G、Beyond 5G(B5G)で構成される広域分散IoTの研究によって得られた
知識や経験を共有する。

■セッション構成
- そもそも5Gとはなんなのか? そしてBeyond 5Gとは?
- 5Gのくみ上げ方とOSS for 5G/B5G
- MECとlocal 5G (L5G) : CS屋さん的に見る5Gの新機軸
- 今すぐ始めたい組み込み屋さん的なモジュールカタログ
- local 5Gやってみた@NAIST


■そもそも5Gとはなんなのか?
〇だれが5Gを作っているのか
- 3GPP: 正式名称: 第5世代移動通信システム
- ITU-R: 国際電気通信連合 無線通信部門が規格を作成
- 3GPPが仕様を策定

〇5Gの特徴
- eMBB: 超高速、大容量
20Gbpsピークなど
- URLLC: 超低遅延
1ms以下の遅延など
- mMTC: 超多数同時接続
100万台/km2を同時収容など

すべての要素を同時に達成することは出来ないためトレードオフを
勘案してネットワークを構成する必要がある。
(高速通信を優先すると同時接続数が下がる等)

〇Beyond 5Gについて
- Beyond 5Gは総務省の用語(Post 5Gは経産省)
- 6GのためのPRではなく、将来の無線技術の基盤創出を目的としている。
- 5Gに加えて以下のような特徴
- 超低消費電力: 消費電力1/100など
- 超安全・信頼性: セキュリティ、災害復旧
- 自律性: 機器が自律的に連携
- 拡張性: 衛星とシームレス接続、窓など様々なものを基地局化

〇周波数と通信性能
- 通信周波数はSub6 (Sub 1GHz-7GHz)とミリ波(24 GHz-48 GHz)
- 周波数が上がると通信速度が上がり遅延が低くなるものの、通信エリアが狭くなる
- 周波数割り当ては国によって異なる
- Band n78(3.3-3.7 GHz)
- Band n77(4.4-5.0 GHz)
など
- コントロールプレーンの違いでNSAとSAがある
- NSA: 4Gをコントロールプレーン、5Gがデータプレーン(5Gで通信するのに4Gが必要)
- SA: 5Gでコントロールプレーンもデータプレーンもやる
- デバイスと基地局が同じバンド、種類(NSA/SA)に対応していないと通信できない

■5Gの組み上げ方とOSS for 5G/B5G
〇オープンソースの5Gネットワーク団体
- OMNI: Open Mobile Network Infra community
connpassやslack、omni-jp/awesome-5g-omni(git hubで公開している5Gで使えるossのリンク集)で活動
- free5GC : コアネットワーク
- OPEN AIR
など

■ MECとlocal 5G(L5G) : CS屋さん的に見る5Gの新機軸
〇 MEC : Multi-access Edge Computing
- 一言でいうとエッジサーバ
- ネットワークの途中にエッジを置いてネットワークを軽く(遅延を短く、トラフィックを少なく)する
- 個々のサーバでは演算性能は落ちるが全体としては性能が上がる
- 遅延の改善、セキュアなネットワーク

〇local 5G(L5G)
- 特定のエリアで自営の5Gネットワークを構築
- プライベートネットワークを作ることもキャリアに繋げることも可能
- ローカルなエリアで通信速度、接続度などのトレードオフを調整可能(configuration可能)
- 広域分散通信網の"みんしゅか"が進められる
- L5G向けにも周波数帯域が割り当てられている
- 4.6GHz-4.8GHz : 屋内克つ地域限定
- 4.8GHz-4.9GHz : 屋外/屋内
- 28.2GHz-28.45GHz :ミリ波屋外/屋内
- 28.45GHz- 29.1GHz : 屋内利用が基本のミリ波
- L5G解説には無線基地局の免許が必要

〇L5Gの実例
- 競輪のリアルタイム放送 (mixi)
- JANOG50「ローカル5Gで無線映像伝送をやってみた」Aug, 2022 で発表
- 競輪会場のドームのなかにL5Gを設置した実例の発表
  - yotubeに動画が掲載

■ 今すぐ始めたい組み込み屋さん的なモジュールカタログ
〇L5G対応の端末
L5Gを利用するには対応の端末が必要だが機種があまり多くない
- Smart Device01 (型番 FMP181L01)
- NSA/SA方式に対応
- SORACOM : 5G対応のIoT SIM
- plan-K2: 特定地域向けIoT SIM KDDI回線の5G/LTEが利用できる
- plan-X2: グローバル向けのIoT SIM(国内はKDDIネットワーク)
- ルーター
- K5G-C-100A : 京セラのルータ デュアルSIM
- RAKU/RAKU PLUS : APALのMiFiルーター 台湾メーカ?
- USB Dongle: APAL
- Raspberry Pi4に接続できるの5G Sub-6対応モジュール
-株式会社iD

■ local 5Gやってみた@NAIST
〇L5Gつかってみた
- NAISTで導入
- RPi4+5G/L5G Dongle x2
- 2台でping pongしようとしたが準備不足で出来なかった


さくらインターネット 菊地 俊介さんの発表
-----------------------------------------
〇概要
世の中で言われる5Gは広域、分散でアプリが動かせるなどがあるが、単なる通信の手段としての5Gと
ソフトウェアとネットワークを組み合わせてシステム構築する間には乖離がある。システムを実現
するためのプラットフォームについて説明する。

〇5Gのアプリケーション
- 単体の端末、ネットワークだけでなく複数かつ広帯域の端末ネットワークが連携していく
- 例: Starlink network 専用のアンテナを使用せずに衛星と通信ができる。5Gの拡張性の例
- 5Gはアプリケーションの機能実現方法については規定していない
- 機能を実現するにはプラットフォームを作って提供しないといけない
- beyond 5Gのアプリケーション
- NICT Beyond 5G/6G White Paperで紹介されているユースケース
- テレプレゼンス : アバターロボットによるロボット制御
- 月面都市: 月面にいるロボットによる操作
- 時空を超えて : 河川制御などを遠隔操作
- サイバー世界と光と影: 公平性、倫理観などの課題

〇5Gのプラットフォーム・アプリケーションの例
-プラットフォームが受け持つ機能
- デバイス、エッジ、クラウドの3種類のノード
- ノードに処理を配備する機能
- ノード間のメッセージ機能
- デバイス拡張機能
などをプラットフォームが受け持つ
- アプリケーションの例
- イベント会場のユーザ移動状況を取得し現状や今後の予想を表示
- 広い部屋を複数のルンバが分担して掃除する
- LiDAR付などのハイエンド機種を1台だけで済ます
- 複数台のドローンで死角の無いように撮影する
- 複数のロボットで協調しながら砂絵を描く
- バラばいた計測デバイス間で計測値を相互に交換しながら構成や環境アクチュエーションを実施
など
- デバイス+MECがクラウドと通信をしながら相互に連携

〇まとめ
- Beyond 5G(B5G)アプリにはプラットフォームが必要
- B5GアプリとはB5Gの特徴を生かせるアプリケーション
- B5Gアプリで前提とするシステム構成
- デバイス、エッジ、クラウド+プラットフォーム
- B5Gアプリの例
- デバイス+MEC、クラウドで大容量、低レイテンシなどの特徴を使用

質問セッション
----------------------------
〇3Gから4Gに変わった時に今のような盛り上がりはなかった。4Gから5Gへの進化で違いはあるか?
仮説ではあるが、3GのころはIoTはまだ盛り上がってなかった。3G->4Gは携帯端末のインターネット接続
などの漸進的・改善的な発想で実施された。4G->5GはIoTが盛り上がり全てのデバイスがネットワークに
繋がるようになったことが今の盛り上がりのきっかけだと思われる

- 技術的な要因ではなく社会的な要因ということか?
- 技術起因の変化ではなく発想起因で技術開発が行われている。
- ミリ波が使えるようになってアプリに必要なだけの通信ができるようになったことも要因
- ネットワーク網の中に計算資源を入れるなどの拡張がL5Gによって一般ユーザにも開放され
てきたことも要因だと思われる

〇L5Gに限らず広域通信網のアーキテクチャが発展途上で研究者が関与する余地があるという事か?
その通りだとおもいます。コンピュータアーキテクチャ的に見れば資源の配置問題のようにみえる。
それを解決しようとするのがB5Gの目的の一つ

- そのような所をElixirで何とかしようとしている?
Exlixirのアプリケーションを使用している所もある。数理的な所は関係ない

- WebASMが覇権をとるような状況ではないのか?
- 盛り上がっているが覇権と言うほどでもない
- WebASMについてはJAVA VMと同じような性質を感じている

〇B5Gの目標のなかで超低消費電力があるがレイテンシなどの目標とは性質の違う技術が必要になる
具体的な技術があるなら教えてもらいたい

- その違和感は正しいと思う。機器単体の低消費電力化ではなくシステム全体の効率改善を志向している
- ネットワーク全体の改善は重要だと思う。MECで通信を削減するなどの改善が重要