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セッションS1-a EmbLT
テーマ:組込みネタで喋りたいヤツはちょっと来い!
講師:及川、上原
日時:2021/9/2 19:30~21:00
参加人数:22名(終了時)
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EmbLTとは?
・技術系ではお馴染みのLightning TalksのSWEST版である
 →Embded Lightning Talk → EmbLT
・セッションやポスターほど頑張れなくてもOKです
・ワイガヤでやっていきましょう!

発表順
1.XilinxFPGAに愛憎を込めて 伊藤さん
2.SWEST22で設計した基盤をリファインしたALGYAN 6th基板でLED-Tankを魔改造してみた 大栄さん
3.非技術者向けにM5GOで組み込みIoT体験ハンズオンをやってみた話 及川さん
4.自律移動するAIoTエッジ機器の「分散協調システム」化の提案 三根さん
5.Raspberry Pi Picoでシンセサイザを作ってみた 石垣さん
6.AUTOSARに関する共同研究紹介と箱庭裏話 高田さん
7.オンライン時代のマイクアンプ工作 日山さん
8.READMEとは何なのか? 鳥木さん
9.自動運転実証実験紹介 濱田さん

発表
1.Xilinx FPGAに愛憎を込めて 伊藤さん(システムアイ)
・FPGA使用歴
 ・2004年 FPGAに初めて触れる(AlteraのStratix、VeriligHDL)
 ・2005年 Xilinxと出会う(Virtex-Ⅱ Pro、VHDL)
 ・2013年 Latticeと出会う(Mach XO2)
 ・その後 Xilinx FPGAを使う(Spartan-3・Virtex-Ⅱ Pro・Virtex4 FX、Startan-6、Artix-7・Zynq-7000)

・Xilinx FPGAのいいところ
 ・デバイス編
  ・基本ロジックの構成が贅沢である
  ・Spartan-6(2008年)以降、6入力LUT-2FFで構成されている
  ・他社のローコストだと4入力LUT-1FFであることがほとんどである
 ・ドキュメント編
  ・ドキュメントがほとんど日本語化されている
 ・ツール編
  ・Vivado MLというツールが使える
  ・サイズがおおきい(50GB)
  ・機械学習向けライブラリが大量に入っている
  ・デザインフローという独特の概念があり、慣れは必要である
  ・全機能が無償である
   ・高位合成が使える
   ・言語混在のシュミレータが使える
   ・ソフトウェア開発として、Eclipseベースがあり、ソースコードベースのデバッグが可能である

・困ったところ
 ・IPの品質が微妙である
  ・前バージョンのものが新しいバージョンで動かないなどがある
  ・出来上がるFPGAデザインには問題はない

・不具合事例
 ・ZynqMPにおいて、アドレスが合っているのにinvalidAdressのエラーが発生した
  ・単なるコーディング不良だった
 ・PCIe-XDMAにおいて、PCからPCIe経由でのwriteが動作しない
  ・readは動いている
  ・2020.2での不良と思われる
  ・現行版(2021.1)では修正されている
  ・IPのChangeLogには記載がない
 ・Ethernet MAC gPTPにおいて、送信パケットバッファに書いた送信データが化けている
  ・明らかにコーディング不良である
  ・ChangeLogには機能は変わっていないと記載されていた
  ・2018.1から2019.1まで修正されなかった
 ・変更後にテストしていないのではないかと思われる
 ・ソフトウェアデバッグでステップ実行すると、割り込みハンドラに飛んで止まる
  ・ステップ実行中に割込禁止していない
  ・MicroBlaze・ZynqのARMの両方で発生している
  ・Forumで何度も報告されているが、修正されていない

・welcome to xilinx world(Xilinxの世界へようこそ)
 ・前のバージョンの機能が予告なく消えてしまったことに対するリプライである
 ・Xilinx使いはみんな同じ悩みを持っているのかもしれない

・質問
 ・伊藤さんがコアなことをやっているのか、Xilinx使いはみんな同じ悩みがあるのか?
  ・多分、みんな同じ悩みを抱えている
  ・ツイッターとかでもVivadoにハマる#ビバ道というハッシュタグがある


2.SWEST22で設計した基盤をリファインしたALGYAN 6th基板でLED-Tankを魔改造してみた 大栄さん(株式会社オーバス(デンソー))
・LED-Tankとは
 ・LED-Campの研修用教材
 ・写真(資料参考)のように、戦車のような形をしている
 ・上部にRaspberry pi 3Bが乗っている
 ・VL53X01測距センサを搭載している
 ・DRV8835によって左右のキャタピラを独立制御して左右旋回する
 ・モータエンコーダも左右独立しており、走行距離の検出も可能としている
 ・カラーセンサで床の色を検出できる
 ・白黒のラインセンサも搭載している

・LED-Tankに搭載されたセンサを駆使して、LED-Campで研修用のプログラムを組んだ

・コロナでオフラインできなかったので、今年はWeBotsというシュミレータを使った

・昨年にSWEST22で設計した基盤について
 ・Autodesk Fusion 360/EAGLEを利用して、ワークショップの後発注して作った

・2020/11/21、IoTあるじゃんで6周年配布用「基盤仕様検討」イベントで60人集客した

・6周年のイベントは400人以上が参加、Seeedがスポンサーとなり200枚もの金メッキの基盤を配布した

・部品を実装しようということで、はんだづけもくもくの会を開催し、200人以上を集客した

・6th基板概要
 ・基板サイズはRasPi 3B/4B相当である
 ・部品の配置が異なるのでケースは利用できない
 ・IFは、ESP32-DevkitC全ピン(38本)出力がある
 ・周辺回路で半数ほど使用済みなので未使用のピンは多くない
 ・コネクタはmicroUSBだが、RasPi 3Bとは異なる
 ・Type-Cモジュールを搭載可能
 ・モータドライバも搭載している
 ・FroveコネクタDIOを2つ搭載している
  ・制御できるLEDも2個または3色光らせることができる
 ・部品は2種類が用意されている
  ・お手軽
  ・手作りFULL
 ・EAGLE設計データ、ガーバーデータはgithubリポジトリで公開中である
 ・SeeedさんのSeeed Fusionで購入可能である

・自分の方で部品をはんだ付けして実装してみた
 ・モータが回転したり、OLDEで文字表示をしたりする

・最終的に、魔改造してできたLED-Tankについて
 ・IoTあるじゃん6th基板で実装
 ・上部にOLEDのディスプレイを実装
 ・前方に3つに測距センターを実装
  ・3方向の距離を測定できる
 ・もともとついていたカラーセンサ、ラインセンサ、モータエンコーダは引き続き実装


3.非技術者向けにM5GOで組み込みIoT体験ハンズオンをやってみた話 及川さん(四国能開大)
・MAKE界隈のはやりものを教材に適用することを行っている

・目指したいものは、技術の民主化である
 ・非技術者がICT技術を活用して俺得なツール・システムを作れることを目指す

・前の職場で組み込み系の学科の体験授業を行った
 ・M5GOというデバイスを使った
 ・15人くらいの何の知識もない完全に予備知識のない人を相手にした

・M5GOとは
 ・Groveコネクタをつなぐだけで簡単に拡張できる、最近はやりのデバイスである

・俺得なシステムとはなにか?
 ・台風がやってくると気圧が下がるということから、embセンサで気圧を取得、ネットワーク経由でツイッターに気圧を投稿
 ・ambientというグラフツールも用いた

・UI FlowというLビジュアルプログラミングを用いた
 ・Scratchっぽい見た目をしている

・教材には、金沢大の秋田先生のテキストを用いた

・やったこと
 1.プログラミングの仕方を知る
 2.ディスプレイに文字を出そう
 3.M5stackを光らせよう
 4.ANGLEを明るさを変えよう
 5.PIRで人がいる時に音を出そう
 6.ENVで温度と変化を出そう

・画面が制御できるのはキャッチーなようで楽しそうだった

・不思議な間違いが多かった
 ・Groveのポートを間違えたり、逆に刺したり、USB-CをGroveに挿そうとしたりしていた

・まとめ
 ・M5のユニットを繋ぐだけなら知識はいらない
 ・無線APは重要である
  ・UI Flowはウェブアプリベースになっている
  ・適当なIPを選んでしまうとネットワークに繋がらない
 ・プログラミングは、逐次、分岐、繰り返しくらいまでは教えられた
 ・創作的なものには3日くらい時間がほしい

・おまけ
 ・UI Flowに、クラウドと連携するサービスが提供された
 ・プロトタイプかがますます加速するのではないかと思われる


4.自律移動するAIoTエッジ機器の「分散協調システム」化の提案 三根さん(計画工学研究所)
・エッジ機器にマイコンをどう使っていくかについて興味を持っている

・Leafonyというプラットフォームで工作するという提案
 ・Leafonyは東京大学が旗を振って開発した、オープン・イノベーション・プラットフォーム

・LeafonyとXBeeという製品を組み合わせて機能分散を行う

・なぜ機能分散をするか
 ・ドローンにはモータを回すマイコンも含め28個もある
 ・当時のiPhone7で15個であり、ドローンは多いことが分かる
 ・gitのコアだけで70万行あるらしい
 ・このスペックから、マルチコア化は当然の流れである

・OSSドローンの構成例
 ・ラジコンから指令を受けてモータを回す
 ・リアルタイムOSを載せ、指示された内容で飛んでいく
 ・最近では、コンパニオンコンピュータも搭載している

・CPUが早くなると、L1L2キャッシュなどが現れ、実行時間が確定的でなくなる

・産業用途で人の頭の上を飛ばすとすると大丈夫だろうか?
 ・ハードリアルタイムの必要性
 ・複数のマイコンで同じ結果が出るかというのをチェックできる


5.Raspberry Pi Picoでシンセサイザを作ってみた 石垣さん
・Interfaceという雑誌でpico_synthを構成した
 ・200行ほどのプログラムで作られている
 ・シンプルな構成、一つの音しか出せない

・pico_synth_ex
 ・新型マイコンRas Pi Picoで作った
 ・4和音対応ポリフォニックなものを作ってきた
  ・4つの音が出せて、それぞれの音を変更可能である
 ・オシレーサ、LFO(低周波発振器)、EG(包絡線発生器)を追加した
 ・オシレータのピッチ微調整に対応した
 ・久しぶりにはんだづけも行った

・ソースコードはgithubに置いてある

・ソースコードはこれまでパクリックドメイン扱いにしてきたが、今回はライセンス表記はなし
 ・改造する場合連絡をください

・200行くらいだったが、400行くらいに膨らんだ。ただし、定形処理が多い

・発展途上点
 ・モジュレーション処理やEGの負荷が高い
 ・詰め込みでコードを書いているため可読性が低い。改善の余地があり
 ・今後MIDIに対応したい
 ・DACを使うなども行いたい

・pico_synth_exと命名した今回作ったものと昔のものの比較する
 ・CPUクロック周波数は16MHzから120MHzになった
 ・CPU使用率がオーバーロード使用しないように制限をかけた
 ・サンプリング周波数が1.5倍になった
 ・発音数や音質はアップしているが、クロックサイクル数はほぼ同じ

・pico_synth_exの今後は
 ・音楽的な調整を行う

・質問
 ・今後、picoのもう1コアを何に使うか?
  ・エフェクター。音を豪華に見せる
  ・ただし、今の1コアもまだ使いこなせてないのでまだ先の話である


6.AUTOSARに関する共同研究紹介と箱庭裏話 高田さん(名古屋大学)
・AUTOSARに対するNCES(高田さんが所属)の取り組み
 ・AUTOSARは仕様が大きいため、複数の企業と連携をしている
 ・コンソーシアム型共同研究と呼ばれる

・コンソーシアム型共同研究という形で、知見や技術者育成に特化した

・これまでの成果
 ・10年で60人くらいの企業からの共同研究員の方が従事した
 ・ESS、SWESTなどの学会、研究会で論文発表を行った
 ・ET、オートモーティブワールドなどの展示会に登壇した
  ・コンソーシアムから出た企業は、SWESTなどに参加した企業である

・アダプティブ向けコンソーシアムの現在の活動
 ・仕様だけで実装がなかったが、プロトタイプ実装などに参画した
 ・システムテストに参画した
 ・仕様書の翻訳を作った
  ・AUTOSARの仕様書の独特の読み方について
  ・応用でプログラム作ってみよう
 ・勉強会を開いた

・開発を軽くしたいためRas Piを使っている。ラズパイマウスはrosでも動く

・アダプティブの研究以外SWESTでも発表したが
 ・Eclipse Che+コンテナ+シミュレーションでクラウドベースのIDEを作った
 ・MATLABとUnityを使って、Unityの内容をMATLABで表示するツールを作った
 ・VR環境でのAUTOSAR定義レビューのツールを作った
  ・XMLが立体的に見えると分かりやすいのではないかと考えた

・人材教育への展開(enpit-pro emb)
 ・社会人向けの人材教育
  1.AUTOSAR CP概論
  2.AUTOSAR CP OS仕様とTOPEERS/ATK2の使い方
  3.モデルカーを用いたAUTOSAR CP開発入門
  4.AUTOSAR CPメソドロジ入門
  5.AUTOSAR AR入門

・箱庭裏話
 ・コード書いてるメンバーが少ない
  ・メンテナンスするのがつらくなってくる
  ・主に森さんがやっている
   ・森さんのコーディングにみんなが追い付いていない
 ・参加者募集中
 ・箱庭には色んなとらえ方があるが、個人的には、組み込みのデジタルツインになってほしい
  ・特にコロナ禍で、シミュレータを使わない選択肢はほぼない
 ・ETロボコンの方が使ってくれた
  ・2019まではリアルのみだったが、2020年からは当然のようにシミュレーションが動画に載っている


7.オンライン時代のマイクアンプ工作 日山さん
・コロナ禍でオンライン会議や動画配信が注目されている
 ・動画に加え音声が大事である

・装置が安価で簡単な音声、特にマイクに注目してみた

・音声配信用の高級なマイクというと、コンデンサマイクがある
 ・低音から高音まで、周波数特定がほぼフラットであるという特徴がある

・高級なマイクはキャノンコネクタと、ファンタム電源(48V)が用いられる

・キャノンコネクタ+ファンタム電源のマイクを作ってみた
 ・回路設計、P板設計、部品実装、調整まで個人で行った

・一般に行われている音声配信の系統図について説明する
 ・コンデンサマイク素子+マイクアンプ
 ・XLRコネクタ
  ・接続先がオーディオインターフェーズ
 ・オーディオインターフェースでアナログからデジタル変換されて、PCへ

・今回は、マイクアンプから48Vが提供される
 ・これを三端子レギュレータで5Vに変換する

・コンデンサマイク素子とオペアンプで増幅率22倍にして出力する

・オペアンプ回路の設計(アナログ回路)は、デジタル回路とは大きく異なり、楽しい世界である

・今回制作したマイクアンプ基板を紹介する

・CADによる、基盤の3次元表示、これが一番見やすい

・現在、とりあえず動作している

・質問
 ・ファンタム電源の48Vから5Vに落とすと熱を出しそうだがどうか?
 ・電流が少ないのであまり問題でない


8.READMEとは何なのか? 鳥木さん(苫小牧工業高等専門学校)
・インタラクセッションのR12を基にしている

・組み込みシステムを基にしたOSSにおいてREADMEの必要情報の調査

・必要な理由・質まで求めることを最終目標にしている

・どのように調査しているのか
 ・自分で読んでみる
 ・カテゴリを分類し、重要性を読み取る
 ・他者とのセッションで必要さを洗い出す

・同じREADMEを2回読んでいる
 ・文献を調査する前と後で考えがどう変化するかを調査するためである

・結果として、この二点が重要である
 ・何をするリポジトリなのか
  ・検索にヒットするか
 ・どのように使うのか
  ・ユーザの達成したいものに合うのか

・今後への問題
 ・READMEにはどれくらいの量や質が求められるのか
 ・例えば初学者は導入の情報などから欲しいが、上級者はそうではない

・今後としては、想定ユーザごとに、求められる質を考える


9.自動運転実証実験紹介 濱田さん(Tier IV)
・LoggieS
 ・ものを載せて運ぶことができる
 ・路上走行も可能である

・JPN TAXIの実証実験
 ・正面にライダーセンサが埋め込まれている
 ・小さいカメラが埋め込まれている
 ・メインは、一番てっぺんのレーザーセンサーが載っている
 ・新宿の実証実験に使われたタクシーである
 ・検討中だが、横方面であれば、処理が重いセンサーでなくても問題ないのではないか

・LoggieeSS
 ・建物内での運搬車両

・eve autonomy
 ・工場搬送向け運転開発
 ・五日ほどで、敷地内を動かせるようになる

・使っているFPGA
 ・最終的には一つのシステムオンチップとしたい
 ・リアルタイムOSを載せたり、そのうえでAutowareを動かしたりして、リアルタイム性を求めていく
 ・GPU使って加速とかはよくある
  ・ライダーの点群処理はGPUでは効率がよくない
  ・FPGAを構成し、再構成プロセッサチックなアーキテクチャで実験している
   ・XilinxVCK190
  ・実験中だが、AIエンジンが役立ちそうである

・お役立ち情報
 ・Tier IVのセーフティレポートは読みやすいので若手の教育に良い。ぜひ読んでみてほしい
 ・RISC-Vの取り組みをやっている
  ・公開されているコンプライアンステストをそのまま使ってアクセラレータの開発が加速したりというケースがある

・新宿の自動運転の動画
 ・人がいっぱいいるような状況でも、飛び出しにある程度反応ができた

・長野の塩尻というところでの実験
 ・車載のカメラを遠隔からの介入もできるシステム
  ・5Gの通信網を使っている
  ・ベテランのタクシードライバーなどが、問題がありそうなときだけ遠隔から介入

・レクサスを使った実証実験
 ・レクサスはワイヤリングの改造がしやすい
 ・人通りが多いところでの実験

・つくば市での物流のための実験
 ・農家が毎日荷物を運ぶのは負担である
 ・丸いほうは、公道が走れる申請が通ったものである


■まとめ
・各々が行ってきた研究を様々に話した
・チャットや質問で、それぞれの分野への交流を行った

以上。