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セッション:s4d
テーマ  :英語で最新技術を学ぶ最良の方法
講師   :山崎 進 北九州市立大学
日時   :2020/08/21(金) 13:40~14:50
参加人数 :16名
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■アンケート結果
 ・見つけた英文の文章が長いので進むべき個所を絞り込みたいor早く大意をつかみたい
  ⇒一番多い意見
 ・一文を読むときにどう解釈すればよいかわからないことが多い
 ・(英語の文章を)書くほうに課題を感じている
 ・かっこよくプレゼンテーションしてみたい
 ・わからない英単語が多くて辞書を引くのに時間がかかる


 なかなか勉強が続かない
 英語を読んだときにこの解釈でよいかわからない
 英語でのセッションやプレゼンテーションがある際に、英語で話している内容が聞き取れない
  ⇒解決方法を英語の先生に尋ねたところ、オーバーラッピングという手法が良い
  ・英語の音声と同時に発生する
  ・リスニング力が向上する

■英語の技術文書を早く読むには
(https://qiita.com/zacky1972/items/b483c5ae40380dc3105c)
 みなさんは組み込みシステムの分野なので組み込みについてのテキストを使いながらやる
 ・技術文書について
 ・早く大意を読み取ること
 を目的としている。

 技術文書は小説や詩には当てはまらない
 技術文書を読む場合でも、「論文を批判的に読むとき」や「扱いが悪いと故障する可能性のある
 ハードウェアのマニュアルを読むとき」は精読すべきなので当てはまらないので注意すること

 ○頻出英単語を覚える
(英語で書かれている論文の)70%は頻出英単語トップ1500で残り30%のほとんどは専門用語
 ですので、70%の頻出英単語に関しては辞書を引かなくてもわかるようになることを目指す。
  ⇒遠そうな道のりだが一番いい方法
   ⇒とはいえ、モチベーションを保つのが難しいので「英語の技術文書を早く読むには」で早く読む、
    要領良く読む方法を習得するのが目的

 本格的な話に入る前に・・・

■「ソフトウェア技術者のための英語習得法の案」を試すまでたどりつかない人のための英語習得法の案」
(https://qiita.com/zacky1972/items/cacec82e865968c300b7)

 基礎的な英単語については英英辞典を使う。
 英英辞典はトレーニングに有効である。
 英英辞典で引いて出てきた単語の説明は、頻出英単語に絞られている。
  ⇒なので、英英辞典の説明について辞書を引かなくてもスラスラ読めるくらいの英単語力が身に
   ついている状態を目指すととても良い。
   ⇒英英辞典を普段から引くと自然と単語力が身につく。
    ⇒一回英英辞典を引いてわからない単語が出てきた場合は英和辞典を引くようにする


■「英語の技術文書を早く読むには」に戻る
 英語の技術文書はすべてを読む必要はない
  ⇒一番言いたいこと
  ⇒たいていの英語の技術文書は容量良く概要をつかむことができるように構造化されている

 1.タイトルを読んで読むべき英文書かどうかを見極める
 2.小見出しを読んで文書全体の構造を把握し読むべき箇所を絞り込む
  例)「Software engineering」のWiki
  構造は入れ子構造になっている。
   ⇒現在読むべき箇所を絞り込む
 3.各パラグラフ(段落)の先頭と末尾の文だけを拾い上げ、パラグラフ同士の関連性を導き出すような
  接続語句を識別し、パラグラフ同士の関係性を把握した上で,読むべき箇所を絞り込む
  ⇒パラグラフ同士の関係性を把握し、全体の構成を構造的にイメージする
 4.パラグラフの主文(パラグラフの先頭か末尾の文)だけを読んで、パラグラフの大意を把握する
  ⇒先頭または末尾の分がそのパラグラフの代表する分となっていることが多い
  ⇒先頭または末尾の分に前後の段落との関係性を表すような接続語句が含まれていることが多い
 5.文を先頭から読み込んでいき、読むべき箇所を絞り込んだうえで解釈する


 ○実際に「IoT」という単語を使ってWikiの英語の文書(最初の序文)を読んでみる
  注意:先頭の文章を読んでから、文章の最後から逆に読んでいく方法があるが、リスニングや
     スピーキングを強化したいときは、先頭から順に読むことを強く推奨する
     ⇒喋られた順序に理解していかないと英語脳に切り替わりにくい

  ・The Internet of things(IoT)
   1.「of」は前置詞となり、「of」の前にあるものが「of」の後に続くものの一部であることを意味する
   2.「The Internet」と「things」は名詞ということがわかり、全体として名詞を表している

  ・is a system
   1.「is」が来たことからSVCに当たるものだとわかる
    S:主語、V:動詞、C:補語
    S=C
   2.「a system」は名詞なので「The internet of thingsはsystemである」ということがわかる。
   3.「a」がついているので「一つのsystem」ということがわかる

  ・of interrelated computing devices
   1.「interrelated」という単語の意味が分からない
   2.「inter-related」と分けることができる
   3.「inter」:間、「related」:関連した、という意味から、「互いに関連する」という意味を推測できる
   4.辞書を引くと「相互関係のある」
   まとめると「相互に関連したコンピューターデバイスのシステムである」という意味合いになる

  ・, mechanical and digital machines
   「,」があるのでこの後に「and」や「or」が続くことが多い

  ・provided with unique identifiers(UIDs)
   「provided」がついているので過去分詞形となる

  ・and the ability
   「to transfer …」以降は保留

  ・まとめ・整理すると
   The internet of things(IoT)
   Is
   a system of
    interrelated
     computing device, mechanical and digital machines
      provided with unique identifiers (UIDs) ※「unique」:世界中に一つだけ
      (世界中の中で一つだけ振られているID)
      and the ability
      (「何かの能力」を持っている)
       to transfer data
       (何かの能力⇒データを転送する)
       over a network
        (ネットワーク越しに)
       without requiring
        (「何か」を要求することなく)
        human-to-human or human-to-computer
         (何か⇒人と人の間、人とコンピュータの間)
        interaction.
         (相互作用)

■ワーク:実際に英語の文章を読み取ってみる
 お題:The definition of the Internet of things has evolved due to the convergence of multiple technologies,
    real-time analytics, machine learning, commodity sensors, and embedded systems.

 ○お題が「易しい」と感じた人への話
  英語の技術文書を読むときは積み重ねでできる
  要所を絞って読めば優しく英語の技術文章を読めるようになるはず
  お題が「易しい」と感じた人はより長い文章を読むようにする、また回数を重ねることが大事

  お題を難しくする要素
   ・関係代名詞が出てくるパターン(「that」など)
     難易度は上がるが「SVC」などがどうなっているか一つ一つ噛み砕いて分解すれば
     難しくなくなるはず
      ⇒読まなくても良さそうな部分は大胆に省くのが有効

■英語を書く時のポイント
 英英辞典とThesaurus(シソーラス)を使うと有効

 例)wake
  Thesaurusを引くと類義語が出てくる
   Awake:眠るのをやめる
    ⇒「起き上がる」という意味が含まれているかは微妙
   Awaken: 眠りから目覚めさせる
    ⇒微妙に2単語の意味合いが違うことがわかる

 手順として
  1.思いついた単語でThesaurusを引く
  2.その中で上がった単語を英英辞典で引く
  3.一番しっくりくる単語を選択する
   ⇒積み重ねていくと、英語で文書を書くときに一番いい単語を使うことができる
    ⇒言葉の選び方が上手になる


■質疑応答
Q1:Google翻訳を使ってドキュメントを読むときと自分で頑張って読むときの使い分けはどうすれば良いか?
A1:Google翻訳を使った場合でも最終的には自分で読むことになる。
  例えば1000ページ分のドキュメントでGoogle翻訳を使った場合、1000ページ分の日本語を読まないといけなくなる。
  効率が悪いので、Google翻訳を使うときは読みたい箇所のピンポイントで分からない部分だけをGoogle翻訳にかけて読む。
  英文をざっと読んだ際に、読むべき場所を絞ることができるぐらい能力が付けば効率よく読めるようになる。
  Google翻訳で気を付けないといけないことは、翻訳できなかった個所をしれっとカットしてしまうことや反対の意味に
  訳することもあるので、自分で読んで見比べてみることが必要。

Q2:「due to the convergence of…」の意味がわかなかったので読み飛ばしてしまったが大丈夫か?
A2:大雑把につかむ分には大丈夫。
  「due to」は「because」と同じような意味でつかわれる。ここでは理由について説明していると読み取れればよい。
  「due to」などキーになる文章があったときに、それを大雑把に意味がとれていれば最初のうちは大丈夫。
  精読する場合はきちんと読めるようになったほうが良い。
  気を付けないといけないのは「however」など逆の意味をとる単語は要注意で、その単語があった場合は
  そのあとの文章が逆の意味となってくるので、そこに気を付ければ文章の大体の意味が読み取れるようになる。