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セッションS5a 講演・チュートリアル
テーマ:高精度衛星測位 RTK−GNSS チュートリアル
講師:木谷 友哉 氏(静岡大学)
日時:2019/9/6(金) 14:10〜15:20
参加人数:30名(終了時)
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機材の準備ができればcm単位での測定が家でもできます

■配布資料
技術的な説明文書(7MB)
http://kitanilab.org/swest21-pdfs/
ソフトウェア(50MB)
http://kitanilab.org/swest21-sw/
※配布スライドにはトラブルシューティングも載せてあるので参考に。

■イントロ(衛星測位の解説)
・現在は約40衛星から取得可能。

・原理:電波から各衛星からの距離を測定し三角測量。x,y,z座標に時間のずれも
考慮した4変数を考える。

・距離の測り方
- コード測位:測定コード信号が衛星によって違うので、そのずれから距離が
測定できる

・搬送配送測距の原理
搬送波(1.575GHz)の波数から求める
1波長は約19cm、それを100分割した2mmの分解能で測定できる。
ただし、整数部分は不確定。この整数値のために基準局が必要。複数の衛星からの
波数で辻褄合わせも行う。

■今回お渡ししたセット(u-blox ZED-F9P, u-blox ANN MBO)
1.5kHz,1.2GHzの2周波を計測できる
(3,4年前は一台400万円もした!ただ現在は一台4万円程)。
※機器1つしかもっていなければ、rtk2go.comを使っている人で近隣の人を見つけたり、
善意の基準局掲示板を参照する。(できれば10km以内が望ましい。動かないものの
測定であれば30km程離れていてもいい)

■前準備
まず何らかの手法で移動局側からデータを引っ張れるようにする(基準局は水明館の
鯉池に設置してきました)。
今回はWio-LTEを使って,フリーのNTRIPサーバに中継。

国土地理院のサービスを利用すれば厳密な絶対位置が分かる。

u-center:インストールを配布資料の通りに実行。
RTKLIB:配布資料(zip)の実行ファイルを実行すればよい。

■実施項目リスト
1. u-bloxモジュールをPCにシリアル通信デバイス(COMポート)として認識させる
2. u-centerを知る
3. u-bloxモジュールのファームウェアバージョン確認
4. u-bloxモジュールのファームウェア更新

・データ形式
- NMEAメッセージ
GNSSモジュールが測位演算した結果を文字列として受け渡す標準フォーマット形式
- UBXプロトコル
u-blox社のGNSSモジュールで使われる観測データと設定データを表すデータ形式

■GNSSモジュールの設定手順(「4.Message」が最も重要)
1.GNSS config
国土地理院の電子基準点がBeiDouに対応していない。独自基準局をつかうときは
BeiDouを使ってもよい.

2.RATE
そんなに早く動かない場合(徒歩など)は1Hzでいい。
当時はドローンを使用していたため5Hzに設定。

3.PRT(Ports)
USB,I2C,UART1,UART2,SPI の5つのポート

4.Message
02-15 RXM-RAWX : 搬送波位相観測データ
02-13 RXM-SFRBX : 各衛星の航法データ
の2つの設定からUSBにチェックを入れsendする必要がある。


■RTK測位ことはじめ
基準局を固定し,その場所の位置を求める
・リアルタイム測位
1.基準局は観測するデータをネットワーク経由で配信
2.移動局は,基準局の補正情報を得ながら,自身の観測データを元に
RTK測位演算アプリ(RTKLIBのRTKNAVI)で演算
・後処理測位
1.基準局と移動局の観測データをロギング
2.後処理演算ライブラリ(RTKLIBのRTKPOST)で測位演算をする

・RTKLIB
フリーでオープンソースのGNSS測位計算用ソフトウェア
RTKLIB_*/bin/rtklaunch.exe を実行すると,全ての利用可能なプログラムへの
ランチャーが立ち上がる

・2つのアプリケーションプログラム
1.RTKNAVI:リアルタイム測位演算アプリケーション
optionのPositioning Modeでいろいろな設定ができます
2.SVRSTR:ストリームサーバ
自前で作った基準局のデータを配信することができる

■注意点
・日本列島は毎年数cm動いていることにも注意する必要がある。
・マップのずれ(googleマップは10cmくらいのずれ)

■データロギング
ラズパイの説明資料については研究室のHPを見てください。

■質疑応答
Q.消費電力は従来のモノと比べてどうでしょうか?
A.補足するチャンネル数が増えるので大きくなるが、元々大きいです。5vで
600mAくらいにまでなります。

Q.バイクや車に乗せる場合は基準局と離れるので基準の変更は?
A.リアルタイムでも後処理にも必要。ランダムに走るならばいろいろなところに
基準局がないといけない。DocomoとSoftBankが全国に何千台置くと告知。
国土地理院のデータは30秒に一回しかない(5秒に一回はほしい)

Q.林道を走る場合はどうなのでしょうか?
A.基準局は10km以内に欲しい。誤差の情報が収束に影響を与える。直接波がないと
きつい。木の葉っぱでも遮られてしまうくらいに微弱な電波。またデータがぶつぶつ
切れると時系列情報が使えず辻褄があわない。

Q.天候の影響は?
A.ほぼない。水蒸気の影響は大きいが基準局もそれは同じなので変わりない。

■まとめ
高精度衛星測位 RTKーGNSS を10台用いてチュートリアルを行った。

以上。