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セッションS2c ワーク
テーマ:図を使って分析すればこんなに簡単
講師:小川 清(名古屋市工業研究所)
コーディネータ:芝 直之
日時:2019/9/6(金) 9:00~10:10
参加人数:12人
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9月6日 9:00開始
参加者は各テーブル3人ずつ着席.計4グループ.


■作業前説明
・目標設定をする
- 各参加者は始める前に本日の目標設定をする.
(例)HAZOPのガイドワードを覚える 50点

・小川先生自己紹介
- HAZOPについての演習を色々なところでやっています.
- ちょけねこ誕生日のおくりものというHAZOP教材の配布もしています.

・今日の時間割の確認
- 目標設定
- 安全工学シンポジウムの発表資料の紹介 -> 未実施
- グループごとの分析作業×3セット

・本日のワーク
- 本日はアンチロックブレーキシステムの安全分析を行う.
- よくある分析対象
- 現物(1つ前の製品など)
- 動画,写真
- 設計図
- 本日はアクティビティ図を見て分析を行う.

・分析の進め方
- HAZOPは11のガイドワード(無逆他大小類部早遅前後)を使って分析を行う.
- 各ガイドワードの観点で設計者の意図から外れる事象を書き出す.
- 座っている位置によって分析を分担(A:無逆他,B:大小類部,C:早遅前後)
以下の流れで進行
1. 分担ごとに個人作業:7分
2. グループ内で書き出した内容を報告:7分
3. 各グループ1つずつ全体に向けて発表:3分
4. グループメンバーの入れ替え:1分

・分析を行う上での注意
- ガイドワードや作業進行などについての勘違いはOK.
- 思いついたことはどんなことであっても書き出す.
-> 様々な視点からの気付きが欲しい.
-> これまでに誰も思いついていないことを洗い出したい.
-> 分析の仕方が間違っていても洗い出せていれば問題ない.
- 分析は抽象化してはいけない.
-> 具体的でないと対処のしようがない.
- 全く同じ内容を別の言葉で表現しているものは記録しておいたほうがよい.
-> 言葉の表現の違いによって理解できる人が増える可能性がある.

<質疑応答>
Q:何をすればいいのかわからない.
A:与えられた設計に対して,各ガイドワードごとにどういったはずれたこと
(逸脱:deviation)が起こるかを洗い出す.
やり方が分からなくても,まずやってみることが大切.
進め方を勘違いしていても,様々な視点の分析が得られるのでOK.
まずは思いついたことを書き出していけばよい.


■作業開始
・分析(1回目) 9:09~
- 全体発表(各グループが洗い出した逸脱)
- センサが故障して値が大きくなる
- 前輪と後輪の処理が逆になる
- 前は作動するが後ろが作動しない
- 4輪の1つだけが作動

・分析(2回目) 9:36~
- 全体発表(各グループが洗い出した逸脱)
- ホイールセンサにその他のものが干渉してセンサ値が不正確になる
- ブレーキの減圧指示が出てから,実際に作動するまでが遅い
- 減速度の入力を,車輪回転速度の入力としてしまう
- 減速度のしきい値が大きくなったり小さくなったりした時に問題が起きるのでは

・分析(3回目) 9:55~
- 全体発表(各グループが洗い出した逸脱)
- 加速度算出に時間がかかって後の処理が遅くなる
- そもそも物理的にブレーキ処理が入っていない
- 図のfailure modeを見るよりは,図の処理系の部分を見たほうが注目しやすい
- 制御の順番が間違っている

<質疑応答>
Q:as well as(類)が見つけにくい.
A:国際単位系の物理量を一度全て洗い出しましょう.


■まとめ
・小川先生まとめ
- 製品について,これまで明らかになっていなかった不具合を発見したい場合は,
ありとあらゆる手段を講じなければいけない.
製品についてよく理解している人だけを集めてもあまり良い結果は得られない.
よく知っていない人を参加させることによって,どういう誤解があり得るのか,
どういう間違いが起こり得るのかという知見が得られる.
設計者,利用者,部品供給者など,全く異なる立場の人を集めて分析を行うと
効率がよい.

・作業まとめ
- HAZOPの11のガイドワードの観点で,アンチロックブレーキシステムの
アクティビティ図に対して分析を行った.
- ガイドワードを3つに分担し,分析を3セット行うことによって,各参加者が
全てのガイドワードについて分析を行うことが出来た.

以上.