********************************************************************** セッションs1b テーマ:IoT時代のシステム開発-違いを超えて分かり合うには- 講師:山本雅基(ASDoQ/名古屋大学) 藤田悠 (ASDoQ/長野高専) 小林直子(ASDoQ/エプソンアヴァシス) 日時:2017/8/24 21:00-22:30 参加人数:約35名 ********************************************************************** ●開発文書の品質は大切 開発文書を作るにおいて品質が問われている。 開発文書の質が悪い(書き方が悪い)と、複数の問題が起こる。 ASDoQは、文書品質特性を以下のように整理した。   1.完全性→開発に必要な情報が記載されているか   2.論理性→論理的に整合が取れているか   3.理解容易性→理解しやすいか   4.可読性→読みやすいか   5.規範適合性→記述が文法規則に則しているか ●IoT時代のシステム開発 IoTブームと呼ばれる時代に突入した今、システム開発現場で変化が起きている。 今まで縁がなかった技術を知る必要や他分野の専門家との共同開発が増えてきている。 6人程度を1グループにして、異なる専門家との交流で困ったことを議論し、グループごとに発表した。 発表された異なる専門家との交流で困ったことは以下である。 (1)過去にソフトウェアとハードウェアのそれぞれの専門家が集まりシステムの協調設計をした際に話がかみ合わなかった。理由は、システムという言葉からソフトウェアの専門家はハードウェア・OS・ブラウザなどを思い浮かべることに対して、ハードウェアの専門家はバス・プロセッサなどを思い浮かべており、同じ専門用語に対して違う認識をしていたことである。 (2)ウェブアプリの専門家と組み込みの専門家の間でも認識、用語が違う。ウェブアプリではデバックが簡単に行えるが、組み込みではそういうわけにはいかない。またリアルタイム性という考え方が違う。 (3)リアルタイム性に対する認識が違う。例えば、ロボットの専門家と自動車の専門家はともにリアルタイム性を考えているが、両者の間では追及する時間が違う。 (4)品質に対する認識の違いがある。高い品質を追求するか、ある程度の品質で妥協するか。 (5)イベント割り込みというものがほかの専門家ではイマイチ理解できない。 (6)コネクタを扱う時に、ハードウェアの専門家は丁寧に外すが、ソフトウェアの専門家は何も気にせず扱う。 ●仕事を通じて成長する 大学生に対して行われた試験から、知的な能力と行動の特性は相関していないことが、分かってきた。 知的な能力を高めることが偏重されているが、仕事を行う上では行動特性が大変に重要である。行動特性を向上させるには実践教育、PBL(Project Based Learning)が有効である。社会人は、仕事を通じて成長することが必要。IoT時代に、異なる専門家との共同開発を数多く経験することで、成長する。 ●情報収集の技術 開発文書を作るにおいて必要なことは、発注者が言うことをしっかり聞き取り理解する技術と、個人が理解した技術を開発チームで共有する技術が必要である。  聞くための技術として、態度や相づちなどの「カタチから聞く」技術と、心を落ち着けてより深い水準で「丁寧に聞く」が紹介された。  個人が理解したことをチームで共有する技術として、MUSEが紹介された。