********************************************************************** ワーク S2-b,S3-b, テーマ:自律型プロセス改善手法SaPID(サピッド)と問題モデリングワーク 講師:安達 賢二 (株式会社HBA、Software Quasol) 参加人数:10名 ********************************************************************** S2-b10名 ●始める前に ・北海道おみやげの配布 ・SaPIDの本争奪じゃんけん大会(最後) ■前半は、講義である。 ●はじめに: ・SaPIDは、プロセス改善手法と呼称されている。 ・そのため、SaPIDはプロセス改善にのみ使用可能であるという先入観を持っている人がいる。 ・プロセス改善だけではなく、講演者らはチームやプロジェクトの運営にも使用している。 ・講演者は、チームの中で、どうやって問題を見つけて解決すればいいかと悩んでいる。 ・そして、どうやって問題を早く見つけて、チームが迅速に動けるのかが大切である。 ・外部の人が、あるチームに対する指摘を言う前に、自らで問題を発見し、解決できるような自律的なチーム運営を目指す。 ・自分たちの現状を知り、自分たちで改善点を見つけることをチームで勝手に実行できるような、チームを育てている。 ●講演者の自己紹介 ・札幌のHBAという会社のSIerをやっている ・入社当初はエンタプライズ系の大きなシステムの保守運用を経験 ・その後、新規開発のプロジェクトや金融系の大きいプロジェクトのPMを経験。 ・ISO9001に関する取り組みを上司から指示され、内容の調査から始め、全社統括を経験する。 ・会社の品質管理責任者を5から7年程度経験する。 ・その後、会社の制度を利用して、社内のベンチャー企業のようなものを立ち上げる。 ・社内外関係なく、エンジニアや管理者が、さらにパフォーマンスを向上するための支援に取り組んでいる。 ・ソフトウェアテスト技術振興団体(ASTER)にも参加しており、ソフトウェアテストシンポジウムの運営もしている。 ・SaPIDの国際標準化における、委員を担当している。 ●SaPIDの説明の前に ・モデルベース改善:プロセスモデル(仕事のやり方を要求事項になぞらえて、仕事の仕方を検討するモデルのこと)を  使用した、改善のことである。 ・個別改善:QC改善のように、チーム毎で改善すること ●SaPIDの成り立ち ・株式会社HBAの取組に始まる→1996:(ISO9001、QMS)が来航する ・当時は部分認証のみ取得し、わけも分からず取り組んでいた。 ・ISO9001はどこを読んでも、ソフトウェア開発に関係しそうなところがわからない。 ・ソフトウェアコンサルタントに聞くと、ソフトウェアCMMがあるという話をされる。 ・ソフトウェアCMMの資料が分厚かったが、読んだ。 ・しかし、現場はついてこない。 ・それでも認証があるため、頑張って取り組んだが、メンバーは頭を使わずただ手引書に従うのみであった。 ・これでは、身がない、形だけの活動である。 ・そこで、改善を試みるが、うまくいかない。 ・このような状況が続く中、2010年度事業計画から生産革新活動が開始されることとなった。 ・「うちの会社が元気ないから、改善するようなプログラム考えて!」という内容であった。 ・「せっかくやるなら身のあることにしたい」と講演者は考えた。 ・失敗を分析して、問題が再発しないような組織的活動のフレームワークを考えられないか。 ・ここで、SaPIDは生まれた。 ・SaPIDは、実際に改善を行っている最中の失敗経験から内容が固まっていった。 ●どうして改善プロセスがうまくいかないのか ・外部の人間が評価し、要求事項に合わないと指摘する。 ・講演者は外部の人間から口を出させることに異議を唱えていた。 ・つまり「やらされ意識」が定着し、受け身の改善になってしまっていることが問題である。 ・モデルの規定に、「こうすべきだ」と書いてあるため、その通りにするだけで良いと考え、受け身的になる。 ・無理な是正や予防によって、あまり効果の無いことを実行してしまう。 ・これらのことが続き、チームのメンバーは改善をしなくなるが、推進者がやらせようとする。 ・トップダウンで改善を進めたがうまくいかなかった。 ・このことで、チームで改善するというアプローチをとると、内輪の活動になってしまい、中身が見えなくなる。 →特定のドメインに特化した対応が多くなり、何を改善しているかわからなくなる。 →他のチームに拡散されづらい。 ・影響力が大きい人が改善方法を指示したら、2つ返事でやってしまったりする。 →結局、アタマを使って開発していないのでは? ・問題点は、モデルの使い方が悪いはずで、モデルを扱えるだけの成熟度がない。 ・外部の人間が改善点を言ってきて、自分達ががそれに同調できない。これはうまくいくはずがない。 ●改善プロセスをどうしていくべきか ・これからの活動の原則を固める。トップダウンは最小限とする。 ・プロジェクトのメンバーには、ある意味自分たちの仕事において、「社長」になってもらう ・この仕事をどうやって最大化していくかということをチームごとに考えてもらいたい。 ・そこで、チームで自律運営するという考えが出てきた。 ・自律改善とは、改善に取り組みながら、大変ではあるが、取り組んでいて面白いような形に持って行くこと。 ●具体的に行ったこと ・それが有効なのかもわからずに、適合性の向上だけを図った。 ・すると、ドキュメントばかりが増えた。 ・適合したかもしれないが、有効かがわからない。 ・そこで、SaPIDという活動を始めた。 ・ただ適合性が高いだけではなくて、価値や生産性の向上を目標とする。 ・必要なことをやっていれば、必然的に適合性は向上するはずである。 ・実際改善として挙げられる内容として、トレードオフ(製品品質向上の代わりに高コストとなるもしくはその逆)が多かった。 ・しかし、これは結局改善とはよばない。 ・個別改善で、お客様に喜んでもらえるようにするには? ・現場は、サービスを無理に向上しようとしても会社・現場が疲弊する(工数が跳ね上がるため。) ・結局これもトレードオフであり、誰かが泣いて誰かが笑うような状況である。 ・重要な考え方として、三方良し(三方とは客、会社、現場)という言葉を見つけた ・みんなが幸せになるような取組をすべきである。 ・もっとも大事なのこと、やる気やモチベーションの維持・向上であり、これを意識した取組がSaPIDである。 ●SaPIDとは ・システムズアプローチとは: 対象をシステムと見立て、どのような構造で動いているのかを明らかし、対策を講じる。 個別の要素だけに目を向けるのではなく、全体像から狙い所を決めて、対策する。 全体のパフォーマンスを改善する方法。 ・SaPIDにおいて重要なコトは、1つ1つの要素を事実として捉えることが、とても厳密である。 ・段階的にゴールを目指すことが大切。 ・システムズアプローチでは、段階的ということは言わないが、SaPIDではとても重要である。 ・SaPIDの実行手順 ・ビジネス現状の把握(テーマの共有) ・現状を把握して、 ・改善を検討して、 ・改善を実行する ・これらのステップを、漏れ無く行うことは最初の目的ではない。 ・段階的な改善手法であるので、 ・最初は、テーマの共有だけを行って、3ステップを実行する。 ・そして、改善箇所を小さく絞って、確実に効果が出るということを見出して、短期間で実践し、実感する。 ・これを繰り返し、改善の難易度を上げ、効果の領域を広げていく。 ・さらに、このチームが「社長の目」になってきたりしたら、より細かいステップを実行する。 ・SaPIDの手順の詳細 ① 自分の仕事に価値を感じていない人は自分の仕事を改善しない。 →最終的にこのような人が、進んで「もっと良くしよう」とできるよう「社長の目」になってほしい  最初にこのことを伝えると、モチベーションが落ち、やらされ意識になる。  そのため、この手順は、最後のサイクルにおいて実行する。 ② テーマを設定する。 →これによって、問題解決の範囲を決める。どの範囲でものごとを考えるか。 →どこの問題を考えればいいか、わかりやすくなる。 ③ 自分たちが見聞き経験した問題を、チームで書き出し、共有する。 →一番簡単に見えるが、このアプローチでは最も重要なところである。  →これが失敗すると、手法が上手くいかなくなる。 ●ワーク1 ・ペンと付箋を配布 ・自分が仕事上で抱えている問題点を書く。 ・付箋1枚に1つ問題を書く。 ・付箋は1枚でいいが、自信があれば3つ書いてもいい ・後ほど付箋を共有する ・このワークは、実際に同じアプローチで、講演者にとっての顧客(改善対象)にもやってもらう ・付箋に書かれた問題が正しいかどうかについて、抽象的な表現を避けた状態で裏を取る。 ・裏をとった結果、事実ではないものを除外する。 ・表現には、原則と禁則がある。 ● システムズアプローチ ・システムズアプローチとは、対象をシステムとみる。 →今回は、問題という切り口において、現状をシステムとしてみる。 ・プロジェクトメンバは、それぞれ違った役割を持っている。 ・役割が違えば、見える状況は異なる。 ・1人1人がパズルのピース(付箋)を持っているように、全員でパズルを組むように合意形成する。 ・この問題点を組み合わせていくと、全体の問題が作成される。 ・自分が持ってる問題のピースだけを改善しようとすると、周囲から理解されない。 ・これを改善すべく、合意形成を行う。 ・ほとんどの場合は、この作業によって自分たちの現状が映し出される。 ・講演者が指示するアプローチ 1.カードを集める 2.カードを読みやすくする 3.事実の確認 4.みんなで構造を作ってもらう ・それでは、どこを改善するか ・最終的に改善目的とする要素を決め、 ・最終的な目的を改善するための改善要因を決めるが、改善要因はたくさんある。どれを改善するかを話し合いで決める。   ※ 根本原因の除去は、今は考えない。これがパフォーマンスを発揮できない原因になりうる。 ・ 根本原因の改善確率を講演者が問いかける。 → すると、メンバーは、「3割くらい?」と言う事が多い →どうなるかわからないことに工数を割いても無駄である。 →自分たちが影響を及ぼせるところだけ改善を反映させる。 ・改善要因を決めたら、その改善要因について掘り下げる。 ・たくさんの要因に分解できるようであれば、さらに対象を掘り下げて、改善対象を考える。 (粒度がすでに細かければ、実行しないことがある。) ・自分たちが持っているリソースで、可能な改善は絞られている。 ・うまくいかない改善の例: ・よく見えないが、遠い北の方に敵がいるらしい。   大砲取り敢えず撃つ→命中したかわからない→1年掛けて敵陣に乗り込んで確認する   →効率が悪い。 ・うまくいく改善:目の前にある対象に対して、やる前から当たるとわかっている対象に銃を打つ。 →当たったこともすぐ確認できる →上手く言ったから、目標を少し遠ざけやってみよう!というイメージ。 ・自分たちで改善できたという実感を得ることが大事であり、これによってモチベーションを得ることができる。 → これを繰り返せば、やる気を損なわず、続けて改善ができる。 ・ 目標を決める。 ・目標のレベルは、チームのポテンシャルや特性で決める。 ・達成できそうなレベルの目標にすることが大切である。 ・メトリクスについて ・メトリクスは大事だが、体感と測定値が一致しているべきである。そうでなければ測定する意味は無い。 ・メトリクスは、最初は定性的でも良い。 ・本当に、改善が100%の効果を発揮するかどうか、トライアルを行う。 ・本当に改善の見込みがあるのか、短い期間で小さい対象に適用する。 ・このトライアルで見通しを確認し、見通しがよければそのまま全体に適用する。 ・もし、見込みが悪い(五分五分)なら、成功確率が向上する方法を考える。 ・もし改善の見込みがないならば、即廃案し、完全に手法を変える。もしくは、ターゲットが間違っているかもしれない。 ・改善を実行する意味を確認する作業である。 ・ふりかえり ・改善を行ったあと、改善が失敗でも良いが、やりっ放しにしない。 ・情報共有をしながら改善のふりかえりを行う。 ・観点をはっきりさせることが重要である。:単に何が良/悪だけではなく、どういう面で、良/悪かったのかを考える。 ・ふりかえりを終えるためのルールは、次にやることが具体化されていることである。 ・重要なこと 常に大きい目標を長いスパンで確認するのではなく、 小さな目標を短いスパンで改善し、実感を得、成果を積み上げる。 ● 事例 ・まずは改善手法に慣れる。 ・段階的に高度化する。 ・チーム間連携や部門間の連携まで行うこともある。 ・管理層は、自分が変わろうとしないのに、変化を周囲に求めがちだが、それをしない。規範を示すべきである。 ・100を超えるチームをにSaPIDを適用した。 ・一気にマネジメントすると大変であるため、これらのチームをレベルごとに分けた。 ・3か年計画で行った。 チームは平均5人メンバー程度。 初年度は、改善の土俵に乗せる。 次年度は、定性的でもいいから、成果改善をする。レベルに合わせて、程度は変わる。 最終年度は、実際に定量的な成果改善を行う。 ・経過 ・ふりかえり前にメトリクスで評価し、定量的に行うことが徐々に出来るようになった。 ・改善当初は、問題が発生してから、次の対策を講じていたが、次に発生しうる問題を簡単に予測できるようになった。 ・2年目くらいからフィードフォワードできるようになる。 ● まとめ ・モデルに書いてあるのが結果・成果・行動・活動であり、改善においてこれを注視しがちである ・SaPIDは思考・認識、価値観、意識を変えようとしている。 ・他者に依存している人は、表面的な行動をとる。本質的にはやはり受け身である。 ・表面的な改善ではなく、目には見えない組織の人達の考え方や組織の文化の改善がSaPIDの目標である。 ・改善は人間がやっている。 ・技術を表面的に取り扱うんじゃなくて、 ・技術を使う人間の思考とか、意図とか価値観を変えていくことが大事である。 ・最終的にはこれらの技術を世のために使い、お客様に喜んでもらいたい。 ・改善とは、今までできなかったことができるようになることである。 →結局自分たちを成長させることである。 ・これを自律してでできるようにすると、楽しくなってくる ●質疑応答 質問 ・P58:SaPIDは目に見えない領域(価値観や意識、思考など)の現状を把握し、意識を改善する   アプローチであるが、改善するに至るまでのプロセスで難しいところを教えて欲しい 回答 ・とてもむずかしいアプローチである。 ・本人が、自分で意識を変えてくれる、気づいてくれるまで指導者が待つことが難しい。 ・人によって、気づいてくれる人と全然と気づかない人がいるから大変である。 ・結局変われるのは、自分の内面からである。 ・これを押し付けても拒絶されるので、「あー!」と気づきを得、目を見開いた瞬間を見つける。 ・気づきを得るタイミングがバラ付くので、とても大変である。 ・中々結果がでないこともあるが忍耐して、最後は変わってくれると信じてあげることが大切である。 ~休憩~ 後半 ● ソフトウェアテストシンポジウムの紹介 ・1800人の来場者! ・有識者の集まりだから、是非参加して欲しい。 ●ワーク2 ・ワーク1の付箋を使用する。 1.ペアで相手が書いた付箋を、1人が黙読し、頭のなかにどのような問題かをイメージする。 2.イメージしたことを「こういうことですか?」と自分の言葉で相手に説明してみる。 3.二人の話し合いで不足情報があれば特定する。 ・様子 付箋の内容が不足しており、問題点の認識の相違があるペアがあった。 相違がある場合は、相手に問題点をより詳しく説明するように求めるペアがあった。 ・講演者のコメント 相手のことを知らないというのは、とてもフリである。 コンテキストを共有していないと、相手の問題点はよくわからない。 今回は、相手のコンテキストが共有できていないはずであるため、近いすることは難しかったはず 書いてあることだけで、的確に相手に伝えることの難しさを体感してもらう。 ●SaPID流問題モデリング ・チームや組織に存在する多くの問題が、どう関連し、何が起きているかを把握してわかり易く表現し、  メンバ全員で理解できるようにすること。 ・関係者全員が全体や個別詳細の両面で把握・理解し、納得するのが目標である。 ・最終的には、関係者が我々が我々自身でやらなければならないということ。 ・(一般のモデリング:特徴を抽出する像のことである。) ・世の中で起きていると思われること3つ ・システム企画~開発・導入~ ニーズや要望がステークホルダ間で一致せず、プロジェクトで迷走する。 ステークホルダの中で何を解決したいのか、明確ではなく全体像がわからず、個別に自分の改善したいことを言い出す。 ・プロジェクト管理 プロジェクト・業務・葬式運営のリスクが見えない。後手の対策になってしまう。これを繰り返してしまう。 ・プロセス改善。 メンバーが誰かのせいにする(当事者意識の欠如)。 誰かが問題だったとしても形式的な対応に終始したり、自然消滅するなど改善効果が得られない。 あるいは、上司の独断や、関係者の意見が合わず迷走する。 ●「自律」とは? ・自律:自分で決めた規範に従い、自らの行いを規制すること 講演者らによる追加の意味:世の中や、周囲や組織にも通用すること ・ 三方良しを実現するための自律したチーム運営 ●毎朝のミーティングで ・問題ありませんか? → しーんとしている。 ・週報        → 問題点欄:特になしばかりかかれている。 ・実際に、PMやリーダーに対し問題点欄ってどのようなことを書くべきか聞くと、PMなどは言葉に詰まる。 ●問題共有の必要性 ・何が問題なのか、チームの中で価値観が共有されていない。なんとなくでやっている。 ・信頼関係が非常に重要である。だから、傾聴も非常に重要となる。 ・上司が信用出来ない人で、何に伝えた情報を使われるかわからないような相手に自分が不利になる報告をしたくない。 ・ピリピリした職場環境だと言いづらい ・問題共有を促す。 ・講演者から参加者への質問:「何を問題とすれば良いでしょうか」 ・チームで共有すべき問題 「なぜ問題がこんなにたくさん近くにあるのに、あいつは気づかないんだ」と考える人がいる。 これは、アンテナの違い、価値観の違い、見える景色の違いで生じうる。 ●交流モデル ・ヴァージニア・サティアのモデル:情報を取り込み→意味付け→意義付け→反応 ・ビクター・フランクル:刺激と反応の間に選択の自由を持っている ・嫌なことをされて、激昂するか、耐えるかどうかは、選択することができる。 ・すなわち問題を受けて、どんなふうに動くかは反応である。 ・生い立ちなどによっても、この反応は変わる(講演者の仮説) ・プロジェクトにおいてもこのような交流がある。 ・習慣 = (状況 → 反応) を何度も繰り返す。何度もこれが繰り返されすぎると執着になる。 ・習慣の解消:自分でコントロールできる小さな領域を広げる ● 写真を表示:魚が入ったバケツ、魚を加えたネコ、おじさんが海の前で座り込んでいる。 ・講演者:この写真の説明を参加者に求める。 ・参加者1:釣りに来たおじさんが捕った魚を、ネコが横取りしている?。 ・参加者2:魚がたくさんおいてあって、その魚を盗んでいるおじさんとネコ? ・講演者:この写真から確実に言えることを考えてみましょう。 ・この写真に写っている人は、漁師? ・ネコが魚を加えていることは事実。 ・バケツに魚は本当に入っている? ・靴紐が解けているおじさんかもしれない? ・おじさんがしゃがんでいることは事実。 ・そもそも、これはおじさんなのか? ・バケツがあることは事実。 ・漁港のようである? ・おじさんは、餌を釣り針につけている? ・推測の域をでない事柄を人間は予想してしまっている。 ・あくまで、この写真から断定できることは、実は非常に少ない。 ・このように、普段から決めつけで物事を断定していないか。 ・人間は事象を先読みし、事実ではないことも湾曲させて理解してしまうことがある。 ・実は、問題モデリングの状況と一緒である。 ・事象から判断することを表現するという。 ・これを周囲に伝達する。 ・取捨選択や見えているものが限定されていたり、周囲の反応や経験則から、意義付けをする。 ・そして受取共有するが、事実では無いことが混ざり、本当のことが変化してしうることに注意しなければならない。 ・大事なこと:関係者の認識違いをなくすこと。 ・これから何をつくろうとしているのか。 ・お客様がどう感じているのか。 ・プロジェクトは今どのような状況なのか。 ・上記を全部共通認識として持っていることが理想であるが、これが中々うまくいかず、プロジェクトが迷走する。 ●自律チーム運営 ・担当作業を責任を持ってやりとげる。 ・問題は自分で解決しなければならないと思い込む。特に責任感が強い人が陥りがちである。 ・安易に周囲に聞くのは無責任と、思い込む人がいる。 ・何か遭っても声を周囲にかけられず、進捗遅延になりやすい。 ・大きな問題になり、結果的にチームに大きな迷惑がかかりうる。 ・問題モデリングでは、マネジメントする者だけではなく、当事者に問題意識を持ってもらうことが重要である。 CMMI:人間と技術とプロセスが大事だよと言っているのに、プロセスしか人は見ていない。 ・自分が他者より優れていてもひけらかさない →成長しない人になりやすい。 ・情報共有で解決できる作業でも、誰もが毎回同じように苦労し工数がかかり、チームとして生産性はあがらない。 ・改善は、業務とは別物 ・関係者は自分の立ち位置を把握する。 ・問題の表現形式や表現方法だけを磨いても意味は無い。 ・講演者からの問い: 「我々のチームではチームパフォーマンスをあげるために◯◯のようなことを”問題”としています。」 「問題をできるだけ早く共有・解決するため、作業中にそれを把握したら、皆にすぐ知らせてください」 ・回答者1:「違和感を感じることがあったらすぐに教えて下さい」 ・回答者2:「予定や計画と違うことが起きたらすぐに教えて下さい」 ・講演者のお話 ・まず、問題を報告してくれたら、問題を報告してくれたことを褒める。 ・講演者の解答「困り事が発生したら、すぐに教えて下さい」と説明する。 ・具体的には、仕事が止まるようなことがおこったら、ということと補足する。 →すると、日報に複数問題点が書かれるようになった。 →日報の場合、1日反応に遅れるので、日報に書かず、その場で手を上げて言ってもらうようにした。 →日報には、その場で言ったときのリアクションを書いてもらう。 →すると、日報にありがとうが増えてうざくなった。 ● ふりかえりの共有 ・チームの価値観を自分たちで作り上げていく。 ・事例に沿って、良し悪しを共通化する。 ・新メンバーにも、この価値観を伝える。 ・すると、新メンバーも輪に加わりやすい。 ・チームの価値観を事例にそって適切に統一し、強化していくことが重要である。 ・毎日の一挙手一投足が実は信頼を創る。 ・失敗はしっかり認め、謝るのが大事。 ●文章表現(簡単に説明、スライドに詳細は書かれている) ・不足型・不十分型と対策型:チャンスカード ・この不足によって何に困っているか?という問いに変更する。 ・それがわかると、別問題が見えてくる。 ・すると、本当の現場の有り様が見えてくる。 ・断定・推論型 ・事実確認をしなくてはならない。 ・リアルに分かるように修正する。 ・冗長な表現は書き直させる。 ●ワーク3:ワーク1でつくったカードの「問題表現」をレビューする 1.ワーク1で作成した付箋は、「問題」として適切かどうか。 ・表現として正しいか。 ・禁則事項に触れていないか。 2.ありのまま、具体的に把握できる内容かどうかを話し合う。 ・様子 まず、付箋から問題をよく考えなおしてみる。 「協力できない」という言い方は「能力的にできない」のか、「意図的にしない」のか。 そして、どういう局面で問題になりうるのか。 このような話し合いをしているペアがあった。 禁則事項を参照しながら、ペアと積極的に話し合いながら、付箋を修正しているペアがあった。 また、ある程度修正が終わってからは、問題点について、相談にあっている班もあった。 ・講演者:相手に伝わる表現が大切である。 ・目的があって、いくつかそれを解決する手段がある。 ・その中で、実現可能で効果がある手段を実行すれば良い。 ・ふさわしい手段をどう考えるべきか。 ・最初から、手段の特定をすることは良くない。 ・できるだけ、簡単な手段を考える。 ・いくつかの選択肢から、最も実現可能性が高い手段を選ぶ。 ・基準とか手順を作りたいと言う人がいたら、同じ効果が出る簡単な方法を考えさせる。それをみんなに説明させる。 ・基準や手順を作らなくても良い方法を先に考える。 ・ドキュメントばかり増加し、無駄な時間を過ごすことになる。 ・メンバーのモチベーションをただ下げるだけになりうる。 ・簡単な方法は、意外とでるものである。 ●日常で大切なこと ・チームの人達とできるだけ毎日顔を合わせる。 ・挨拶をきちんとする。 ・「はざまーす」ではなくて「おはようございます!元気だね!」と一言付けて挨拶する。 ・馬鹿話でもいいので、みんなが笑顔になって楽しく思ってもらうところが良いチームの環境づくりのスタートである。 ・風通しの悪いチーム ・笑顔が少なく、挨拶がなく、問題・間違いを許さない、監視・締め付け・やらせる ・突然問題解決のためのコストが、あるタイミングに突発的に多大にかかる。 ・費用対コストのパフォーマンスがとても悪い傾向が多い。 ・問題は問題、改善は改善としてみている。 ・問題が発生したから、改善しなければ!というサイクルになる。 ・風通しの良いチーム ・笑顔が多く、挨拶があり、見守り・支援と協力/任せる・やってみる、人間は間違えるもの ・少しずつ、継続的に改善策をたてていくので、問題解決・改善工数は全体的に低くなる。 ・費用対コストのパフォーマンスが良い傾向が多い。 ・問題と改善を区別していない。 ・ノウハウの蓄積を、メンバーが勝手に行いだす。 ・問題を、自然に改善する。 ・メンバーは、改善を行っている自覚がない。 ● 自律したチーム運営のためのシナリオ ・ほめて、たすけてあげる。 ・良いチームになると、自然と日報週報を活用して、問題構造図が書けるようになる。 ・勝手に自分たちだけで改善が進むようになる。 ・これが、問題モデリングの最終形である。 ・振りきれるような工数がなくなった。 ・いろんなノウハウが必要ではある。 ・今回はさわりのみ。 ●実際の経験 問題構造図を書くための説明はするが、 2ヶ月位で、良い改善の流れに持ち込める。 リスク対策もできるようになる。 ●問題モデリングの適用分野 ・プロジェクト運営 ・ソリューション提供(企画) お客様と一体になるためにも使うことができる。 ・問題構造分析 マーケットの分析にも使用できる。 ●まとめ ・自律したチームをつくるために ・今日感じてもらったところが ・リーダーの人格価値観組織文化が影響大である。リーダーはとても影響を与える。 ・価値観は自分たちで作っていく ・三方良し ・信頼関係がとても重要である。信頼関係の日々の積み重ねが重要である。 チームで仕事をするために重要な事は タフじゃなくては生きていけない。 優しく(優れていなくては、)なくては、生きている(チームで仕事をする)資格はない。