********************************************************************** ワーク S2-b テーマ:組込み開発での『わかりやすい』アジャイル導入ポイント 講師:前川直也(パナソニック株式会社) 日時:2014/8/29 9:00〜10:20 参加人数:39名 ********************************************************************** ■会場のセッティング  ・6人がけのテーブルが6つ用意されており、各テーブルには付箋と色ペン、 A3サイズの紙が用意されている。  ・中央にはレゴブロックがたくさん置かれたテーブルがある ■グランドルール  ・自分自身のプロジェクトや組織に置き換えて考える。  ・とにかく頭と体で感じ取る。  ・一期一会の笑顔を忘れない。 ■最初に質問  ・アジャイルをやったことがある人・・・2人 ■アジャイルとは  ・アジャイルとは、お客様のビジネス価値を最大化し、ビジネスに勝つための 「考え方」や「姿勢」「マインド」。  ・アメリカではアジャイルを取り込んでいる企業が多く、普及している。  ・組込み技術にも適用されつつある。 ■組込み技術の話 ○組込み技術の取り巻く現状  ・商品仕様が多様化・複雑化してきている。  ・昔はハードウェアの要素が強かったが、現在はソフトウェアの規模が増大 している。   それによって開発体制が巨大化・複雑化している。  ・今の世の中はほしいものが周りに揃っているため、激しい価格競争や コラボ商品の販売が目立ってきている。  ⇒「要求される価値」から「創り出す価値」の時代へ突入している! ○組込み業界の変化  ・昔は世の中にモノがなかったので、ほしいものを狙って開発していけば 的中する確率が高かった。  ・現在の組込み業界では、環境の変化、ユーザニーズの多様化、競合他社 との競争激化などで先の読めない状況となっている。 ○開発段階における課題  ・開発開始段階時に見積もりがしっかり決まっていれば問題ない。  →実際には、コミュニケーションギャップや設計・実装の都合、納期などの 影響でうまくいかない。  →納品時の結果が開始段階の見積もりと違うという事態が発生してしまう。  ・ソフトウェア開発は人が行うものなので、仕様変更や日程の変更、課題・ バグなどが発生してしまう。  ・混沌としたソフト業界において、変化が発生しないのはあり得ないため、 変化を前向きに受け入れていく必要がある。 ○変化を味方につける  ・言われた通りに進めるのではなく、依頼されたものに対して目標を共有する。  ・丸投げで作業を進めるのではなく、フィードバックを通して意見の交換や 共有を行う。  ・開発者は技術やスキルがあるため新しい仕様を提案していくことも重要。 (なかなか難しい)  ⇒変化を味方につけ、お客様のビジネス価値を最大化する。より良いものを 提供する。  ・アジャイルソフトウェア開発手法の例としては、エクストリーム・プログラ ミング(XP)などがある。 ○アジャイルソフトウェア開発宣言  ・2001年に、アジャイルソフトウェア開発手法の分野において名声のある17人が   別個に提唱していた開発手法の重要な部分を統合することについて議論した。  ・その議論を文書としてまとめたものが「アジャイルソフトウェア開発宣言」。  ・アジャイルソフトウェア開発とその諸原則を公式に定義した文書であると 広く認められている。  ・アジャイルは計画に従うよりも変化の対応を大切にするため、計画性が ないという誤解が生じたりして、   アジャイルが普及してこなかった。   →計画と変化どちらも大切であり、アジャイルはどう進めていくのかを 自分たちで考えていくという意味がある。 ○アジャイルの考え方  ・アジャイルの考え方は抽象的になってしまうが、ソフトウェアの価値を 最大化することを考えるということ。  ・何に価値があるのかをしっかり考えていく必要があり、コミュニケー ションが重要。  ・随時、フィードバックを行いながら価値の共有を行うことが大切。  ⇒部門の壁を越えて、製品の価値を共有するには、一緒に描き、一緒に作り、 一緒に確認していく必要がある。 ■ワークショップ(9:30〜)  ・実際に価値のあるものを作ってみよう! LEGOで飛行機を作る『最高の飛行機を作ってください!』 ○ワーク1:作る製品の価値を考える(5分)  ・価値のあるものを作るにあたり、どんなものに価値があるのかグループで 共有する必要がある。  ・何が最高なのか?   -お客様は誰ですか?   -どんな人ですか?   -求めているものはどんなもの?   -お客様のハッピーとは何なのか?  ・価値の共有と自己紹介、チーム名を決める。 ○コメント  ・今作っている製品の価値をメンバーの人に聞いてみると、意外と出て こない。  ・お客さんはどんな人か、どんな時に使うのかを考える。  ・価値があり、お客さんのイメージをすると結論が出るものが多い。 ○ワーク2:メンバーのタスクをピックアップし、計画を立てる(5分)  ・10分間のタイムボックスを1日と見なす。   -実際に朝会をやり、開発をして、反省・振り返りを行う。   -実際の作業時間は、6〜7分ほど  ・今は要求が曖昧なので、製品を作りながら価値を上げていく。  ・自分たちで考えて工夫しながらやっていく。←アジャイルが一番目指して いる目標  ・計画も自分たちで考えていく。  ・誰が何を作るかは後から決める。  ・まず、このメンバーでどんなタスクがあるのかをピックアップする。  ・ポイント   -みんなで考えること   -みんなの得意分野は何?   -計画段階はイメージ力が重要 ○ワーク3:実際に飛行機を開発する(10分)  ・10分間のタイムボックスを1日と見なす。(再掲)   -実際に朝会をやり、開発をして、反省・振り返りを行う。   -実際の作業時間は、6〜7分ほど  ・ソフトウェア看板(タスクの管理に使用)  |TODO(未実施)|Doing(実施中)|Done(完了)  -----------------------------------------------   名前 |    | | -----------------------------------------------   名前 | | | ----------------------------------------------- | | |      このような表を作成して、タスク管理を行う。  ・KPT(ケプト)を使ってメンバー全員でタイムボックスを振り返る   -タスクが終わった時にメンバーと振り返りを行うためのツール≠反省会   -Keep:良かったこと   -Problem:うまくいかなかったこと   -Try:次回の取り組み       以上のツールを用いて、タスク管理や振り返りを行う。  ・ワーク終了後に他のチームの飛行機の鑑賞を行った。 ○ワーク4:実際に飛行機を開発する(ワーク3と同じ作業)  ・ワーク3で作った飛行機は一度、壊してもう一度始めから作業を行う。  ・各メンバーの動きや時間配分がなんとなく分かってきたので、   それを基に、同じような飛行機を作ってもよいし、最初に考えた価値を 変えてもよい。(朝会で話し合う)  ・ワーク終了後、どのチームの飛行機がいいか各個人で投票を行った。 ■まとめ  ・「何に価値があるのか」という視点で全員でゴールを描き、共有する。  ・「価値のあるゴール」を一定間隔のリズムでカタチにしつつ、メンバーと 組織をリズムで成長させていく。  ・「自分たちの作り出すもの」「自分たち」「自分自身」に愛を持つ  ・ ゴール + リズム + 愛 = アジャイル