****************************************************************** セッションs1-c テーマ『ワークショップによる開発プロセスの振り返り』 セッションS1-c 分科会1 コーディネータ: 木元峰之 日時:8/22 21:00~01:00 参加人数:8人(途中参加で9人になる) ****************************************************************** k氏:今日やって頂く内容は皆さんにある問題をやってもらうのですけど、問題の 点数については気にしないでください。このセッションはいい意思決定を行うため にはどうすればよいのか。実際の会社では意見が別れた時どうやってよりよい意思 決定を行うのか。 今回のワークショップを通して考えて行きたいと思います。 ———————————————————————————————————— ワークショップの流れについて 1.まず、最初に座っている席によるグループ分けを行った。参加者は8人で2チーム に分かれてください。 2.次に個人で入試問題(地理)を解いてもらいます。 3.問題を回収し、チーム内の回答を使って多数決で答えを出して点数を出します。 4.チームリーダーが別の場所に移動して、残りのメンバーが一人ずつリーダーのと ころに行って入試問題の答えについて議論をしてください。 5.最後に、全員で集まって入試問題について話し合ってください。全員が納得する 答えを出してください。 ————————————————————————————————————ー 21:20~21:354人ずつ2チームになって、中学入試問題を解き始める。 K氏:問題の答え合わせを行います。この間で自己紹介をしてください。そしてリ ーダーを一人きめてください。 ————————————————————————————————————ー k氏:リーダーはこちらの場所に移動して、チームメンバーは一人ずつこちらに来 てください。リーダーはメンバーの意見を聞いて答えを選んでください。では、始 めてくださ い。 21:40~22:10 メンバーがそれぞれリーダーのところに行って自分の意見を話して、リーダーが答 えを決めた。 ————————————————————————————————————ー k氏:今から始めるコンセンサスについてですが、多数決で答えを決めないでくだ さい。皆さんが全員納得できるように議論を進めて入試問題の答えを決めてくださ い。 22:15~23:05 各チームはコンセンサスを行って答えを決めた。 ———————————————————————————————————— k氏:点数をプロットしてみました。一番左の点数はチームの平均点です。真ん中 の点数はチームリーダーがそれおぞれの意見を聞いて決めた点数です。最後の点 は、コンセンサスによって決めた点数です。これを見て、何か気付きありますか? 70 52.5 35 17.5 0                    Aチーム 100 75 50 25 0                    Bチーム k氏:これは開発現場で出会う意思決定と同じで、十分な情報がなくて一つの答え を出さないといけない。そのケースをみなさんに体験してもらいました。 では、実際に体験して気づきや質問議論したいことを言ってください。 Q.投票によって決めた時のデメリットはなにか? ・声の大きな人に引っ張られる。 ・正解とは限らない。 Q.ではメリットはなにか? ・公平性がある。 ・時間がかからない。 Q.それぞれの決定方法について考えてみる。 ・多数決の場合、Aの意見というグループとBの意見というグループが衝突した場 合、そこで人数できまる。今の国会などがこの形式である。 ・リーダーが決定する場合リーダーとメンバーの1対1で話を行うため、それぞれの 根拠を聞ける事ができるし、意見を尊重することもできる。 ・コンセンサスの場合、それぞれの意見や根拠を聞くことができる。しかし、日本 人の場合意見が多い時発言する人がなくなる。 Q.多数決の決定とリーダーの決定にはどのような違いがあるのだろうか? ・多数決によって出した答えに根拠はないが、リーダーはそれぞれのメンバーの根 拠に基づいて決定できる。 ・チームメンバーの意見がバラバラの時、リーダーがそれぞれの根拠を聞いても決 定できない場合「オプション付き」で中間答えを出すことができる。 k氏: 答えがわからず、それぞれの意見について決め手が欠ける場合、ずっと平行 線で進んでしまう。実際の開発でもあると思います。これをどうやって解決するが 大事です。 このような場合、オプション付きで中間答えを出して一旦情報収集をした後にもう 一回答えを出すこともできる。 Q.実際にみなさんは仕事で意見が別れた時一つの意見に決めないといけない場 合、どのような意思決定を行っているのか? ・80%コンセンサス+20%多数決をしている。話し合いでどうしても決めれらな いとき、やはり多数決で行ってしまう。その場合、相手の意見を全面反対している のではなく、相手の意見は一理あるなとは思っている。しかし、やはり自分の意見 が一番である。 Q.リーダーが全員の意見を聞いているにもかかわらず、なぜコンセンサスと違う のか? ・リーダーが全員の意見を引き出して、統一すればいいのではないかと思ったが時 間はかなりかかる。それであればコンセンサスで全員集まれば行なったほうがい い。 ・リーダーによって意見を引き出す場合、伝達の齟齬が多少発生してしまう事があ る。 Q.コンセンサスでいい意見が出せると分かった。では、会社でコンセンサスを導 入する際にどのような問題があるのか? ・時間がネックである。 ・上司が入ってしまった場合、周りの人がそれに引っ張られてしまう事がある。例 え、上司が言った意見が最善解ではないと知っていてもそれに同意してしまう。 ・上司の目を気にしてしまう。 Q.例えば、2つの選択肢があるときどちらをとっても苦渋の決断になってしまう 場合はありますか? ・人事の決定で、2人のどちらかをプロジェクトからはずさないといけない場合。 その場合はコンセンサスで行いました。 Q.コンセンサスで意思決定した場合のほうが後悔せずにすむのか? ・コンセンサスのほうが後悔せずに済む。他人の意見を聞いて意思決定するため、 後悔はすくない。人事決定の場合について、多数決で行うのは間違った答えを生 む。 Q.リーダーの負担について、どう思うか? ・リーダーによる意思決定はかなり負担である。時間が長くなった場合や人数が多 い場合はリーダーの負担がかなり大きい。また、問題によって責任も大きい。 Q.コンセンサスの崩壊に出会ったことはありますか? ・コンセンサスで決定できず時間が長引いて、チームが状態を終わらせようとする とき、コンセンサスを投げ出してしまう。これによって、コンセンサスが崩壊して しまうことはある。 Q.会議を行う時間帯と会議の時間の長さについて、どう考えればいいのか? ・体調によって決める。 ・会議に幾つか種類はあって、  連絡会議:毎日行うもので、短い報告みたいなもの。  戦術会議:その週または月の目標、活動内容などについて議論する。時間は2時 間程度  戦略会議:次のプロジェクトなどについて議論する。時間はいくらでもかけてい い。 Q.会議で話がそれる場合があるが、どうすればいいのか? ・会議の前に、本日のゴールを決めて話をする。またはホワイトボードに書いた後 会議を行う。 ・例えば、今から来年のSWESTのテーマについて会議を行うのと、来月で行うプ ロジェクトの内容について会議を行うのでは違う。戦略会議と戦術会議の違いを認 識するべきである。 Q.なぜ会社の会議はダメで、今回のワークショップで良くなったのか。 ・初対面だからいろいろ言える ・意見の違いによって発生する利害関係がないため、足の引っ張り合いがない ・意見による損得は発生しない Q.では、会社でも同じように成功させるためにはどうすればいいのか。 ・自分から他のメンバーを巻き込んでいく。 ・隠れた利害を机上に出して議論を行う。 ・相手が悪いと思ってはいけない。已む得ない事情によってそうなっていると考え るべきである。 ・相手の立場に立つこと。相手の不安や事情を考えて引き出すこと。 ・質問による相手の本意を引き出すこと。例えば「私は何をしったら、貴方の意見 を理解できますか?」や「私(他の人)が貴方と同じ意見を選ぶために、何を知るべ きでしょうか?」に似た質問で相手の本意を引き出す。 Q.議論を客観的に見ることができて、会議を修正できる。また、会議が詰まった 時に新たな意見を生み出せるファシリテーターを入れるのはどうだろうか。 ・一つの意見として、女性を会議に入れるとぶつかり合いが減る確率が大きくな る。 ・ファシリテーターを入れると逆に社内の人から反発される可能性がある。 ・答えが付かない問題というのは、技術的問題が絡んでいるのではなく感情が絡ん でいる事が多い。そのため、ファシリテーターというより技術を知らない人が良か ったりもする ・損得を考えて、ファシリテーターを入れるか入れないかを考えるべきである。フ ァシリテーターは万能薬ではない。 00:10~00:30 感想 ・昔、このようなワークショップを体験したことはあった。どこかでこのワークシ ョップを広めて行きたいと思う。コンセンサスは使えると思った。 ・今までこのような体験はあまりなかったが、結果をみてコンセンサスは重要だと 思った。これから使っていきたい。 ・チームのみなさんは完璧の知識を持っていたわけではないが、それぞれの意見を 集めて一つにしていくことでよりよい答えを選ぶ事ができた。コンセンサスのちか らを体験することはできた。 ・会社ではコンセンサスを行う事は多いです。今回の体験でさらにコンセンサスの すごさを理解できた。 ・志が同じにもかかわらず、意見がぶつかることがある。このような場面と出会っ てもめげずに頑張っていきたい。 ・コンセンサスの効果にこれほどの差があるとは思っていなかった。なのでこれか ら広めていきたいと思う。 ・現在の会社にコンセンサスを適応させていきたい。 ・大学にコンセンサスを適応して、今の会議の状況を改善していきたいと思う。 まとめ K氏:私のワークショップでは特に答えはありません。みなさんが議論をして自分 で議論をみつけてほしいです。「ライトはついていますか?」という本があるので すが、この本ではソフトウェアの問題は目で見える部分にあるのではなく別の部分 にある。また、生産するソフトウェアのほとんどが顧客の役に立たないと考えるべ きであると書いてある。よかったら見てみてください。 ぜひみなさんの誰かがこのようなワークショップを開いてください。そのとき私に も参加させてください。 00:35~ アンケート 以上