********************************************************************** セッションS1-c 分科会 テーマ:SWEST若手枠 〜研究とキャリアパスについて語り合おう コーディネータ: 松原 豊 (名古屋大学) 日時:9/1 21:00〜22:30 参加人数:約40人 ********************************************************************** 1 企画説明 * 研究紹介(25分) ・ 「自動車制御システム向け開発 開発資産再利用のためのミドルウェアの研究」石郷岡 祐(日立製作所 日立研究所) ・ 「組込みシステムにおけるCPSの可能性」加藤真平(カリフォルニア大学 サンタクルーズ校) ・ 「無線信号処理向けのアレイプロセッサにおけるプログラマブルデータの並び替えユニットの実現」小堀友義(NEC システムIPコア研究所)  質問は、1,2件 → 他は徹夜で聞いてください * パネルディスカッション(30分) ・ メインでやりたかったこと ・ キャリアパス・研究などで聞きたい事を、紙に書いていただくか手を挙げて聞いていただく ・ 普段聞きにくいことも存分に聞いてください   →お答えいただけます * 続きは、徹夜で。。。      2 最新研究の講演 (1)「自動車制御システム向け開発 開発資産再利用のためのミドルウェアの研究」石郷岡 祐(日立製作所) * 自己紹介 ・ 石郷岡 祐(イシゴウカ タスク) ・ 83年生まれ28歳 ・ 修士で博士には行っていない ・ 日立製作所に入って4年目 ・ 武蔵工業大学 ・ 研究概要 ・ 組込みソフトウェアの生産性向上の研究 ・ 開発資産をいかに利用していくか ・ 開発資産重視 ・ 専門・興味 ・ 組み込み制御ソフトウェア向けの分散処理 ・ マルチコア ・ AUTOSAR、機能安全、FP7、CPS * 所属の紹介 ・ 日立の研究所 ・ 中央研究所、日立研究所、横浜研究所、デザイン本部 ・ 研究 ・ 社会インフラ向け(クリーンエネルギー・生活インフラ・クリーンンモビリティ) ・ 火力発電(タービン)・水力・原子力・スマートグリッド・ガスタービン ・ エレベータ・指紋認証・上下水道システム・生活家電・粒子線治療システム ・ 鉄道システム・人間共生ロボット・環境安全自動車システム・画像応用技術 * 研究の紹介 ・ 自動車制御システムの特徴 ・ 組込みコントローラの箱がたくさん ・ 車載ネットワークでやり取りする ・ 分散システムが、ハードリアルタイムで動いている ・ ハイブリット自動車・高安全機能などで、機能が高度化→通信量の増加 ・ 通信料の増加に伴いCAN→FlexRay ・ CANから、FlexRayに変わるときに必要なゲートウェイの研究 ・ CANはイベントトリガ ・ 通信量が一定でない   → 平均化・タイムトリガ化してFlexRay で利用できるようにする ・ ゲートウェイを利用。CANからの通信データを絞ってFlexRayにマッピング ・ 1:1でなく、クラスタを利用しておこなう ・ ECUが壊れて大量の通信量が流れたケースを通信量変動の例として,シミュレーションを使い評価 ・ 結果:状来手法でうまくいかなかったものが上手くいいった ・ 提案手法の利点 ・ ネットワークが変わってもアプリケーションを変えないでいい。車種展開容易。 * R&D教育 ・ ETロボコンを活用 ・ ソフトウェアプロダクトライン ・ 開発資産を共通と個別部(可変部)に分ける ・ 個別部を個別部と可変部にさらに分ける ・欧州向け、アメリカ向け、日本向け、が存在する      eg ハンドル(右ハンドル・左ハンドル) ・ システムの要件から、どのような組み合わせにするか決める ・ フューチャーツリーを使って管理する ・ ソフトウェア部品と機能のトレーサビリティ ・ SysMLで記述できるようにして、ETロボコンに適用 ・ エクセレントモデル(東京地区大会) ・ ソースコード向けモデル計算 ・ ソフトウェア開発のV字モデル ・ 設計と実装の間で人手によるデバックが大変 ・ 設計と実装で乖離があると大変 ・ CBMCを使って解決 ・ 最新技術をETロボコンで試し、本業で使えるようにする * まとめ ・ 自己紹介 日立研究所 ・ FlexRay向け通信ミドルウェア ・ プロダクト開発向け通信ミドルウェア ・ ETロボコンを活用したR&B教育 ・ ソフトウェアプロダクトライン ・ モデル検査 * 質問 ? プロダクトラインで資産を再利用できるかどうかを、どのように評価? ・ システマチックな評価はそれほどしていない。仕様書を見た開発者の経験。 ・ 同じお客さんから次の製品を作る場合は,派生開発になることが多く,資産を再利用できることが多い ? 昔からそのような取り組みはやっているのでは?プロダクトライン工学? ・ 個々の部門でやられているとは思うが,みんなに周知されていない ・ 学問として、体系立てる必要がある ? FlexRayやCAN(Controller Area Network)という名前は抽象的な印象?FlexRayはCANの一種? ・ FlexRayやCANは通信タイプが違うので、2つのネットワークが混ざると困る ・ FlexRay: 時分割通信ベース(この時間はだれが送信していいか決まっている) ? Controller Area Networkの名前がよくないのでは? ・ 個人的には提唱された当初のネットワークにはこれぐらいしかなかったので, 広い意味を示すController Area Networkになったと予測。 ? ETロボコンのR&B教育は、どれくらいの年齢の人を対象にしている(これに参加している?) また、どのように教育している? ・ 会社に入社した1年目→勉強 2年目→メイン ・ モチベーションを高い人を引き上げるためにやっている ・ 教育方法は先輩が後輩に教えるスタイル ・ 毎年,業界内で目新しいことに挑戦するようにしている ? 効果はありましたか? ・ 去年からなので効果を見える化するのは難しいが知識体系の幅が増えたのは確か ・ 論文増えればあったという指標になりそう ・ 知識を実践する場としていい ・ 教育としていいと思う ・ 研究者としては自分の専門の近くの知識もわかっているほうが良い ・ やってみるといいよと言われたことが、効果的と分かった ? UMLとかも使ったことのない段階でETロボコンに挑戦? ・ UMLとかも使ったことない状態だった (2)「組み込みシステムにおけるGPUの可能性」加藤真平(カルフォルニア大学) * 自己紹介 ・ 慶応で博士号を取った。 ・ その後、東大→カーネギメロン大学→カリフォルニア大学 ・ これ以上はGoogleで調べてください ・ 研究テーマ ・ 古いタイプの研究が多い ・ OSとか RTOS ・ CPS(サイバーフィジカルシステム)がバックグラウンド ・ コンピュータが普及した次の段階 ・ 物理世界と現実世界の橋渡し ・ サイバーとフィジカルをつなぐ ・ どんなアプリケーション? ・ 詳しくは、明日のパネルで話す * 研究内容 ・ CPS、特にオートノマスドライビング(自動運転技術) ・ 無人で運転 ・ ストップサインで止まる ・ レーンから外れないで走る ・ カメラやコンピュータ、マップを持っているうえで、どのくらい車が走れるかを競う ・ どのくらいのクオリティで走ることができるか ・ このシステムのプラットフォームを作っている ・ トランクにパソコンを積んでいる ・ 限られた資源でどれだけのクオリティを出せるか ・ 議論になったこと:Can systems performance improve by factor of ten? ・ Use many-core ・ Many-core?? ・ GPU:ハイパフォーマンス ・ インテルもたくさんのCPUコアを積んでいるものもある(出てない) ・ GPUは何で、そんなパフォーマンス? ・ 例:画像を認識するとき ・ ピクセルが独立 ・ たくさんのコアで一気に処理 ・ 460回のループが1回の処理にもなりえる ・ GPUはCPUに比べて10倍以上のピーク性能が出る ・ 20・30・40倍になっていくだろう ・ GPUは、1Wあたりの性能も7倍出る ・ CPU7個分の性能が出せる ・ 電力あたりの性能も上がる * 学術的な内容 ・ GPUは使うのが難しい ・ デバイスなので、プログラムがCPUから始まる ・ GPUが実行できるコードをCPUからコピーする必要がある ・ データもコピーしなくてはいけない ・ デバイスなので、計算結果も自分でCPUに戻してあげる必要がある   →資源管理が複雑化 ・ リソースマネージメントモデル ・ CPUはGPUにコマンドを送る ・ 資源整理をしてあげないと、送られた順に処理が行われる ・ 優先度の低いタスクがGPUで実行されていると、高い優先度のタスクが実行できない  →ブロッキングされてしまう ・ TimeGraphというソフトウェアを作った ・ GPUのスケジューラ ・ Linuxで作って、今度採用されるか12月に決まる ・ GPUにコマンドを送る   →GPUスケジューラに一回送る(そのまま流さない、先に優先度の高いものを実行できるようにする) ・ CPUに無理やり割り込みをさせる       →リアルタイムで使っているスケジューリングが使える       【実現方法】ただ単に送らずコマンドのキューを作る→割込みを発生させ、先に優先度の高いのを実行する ・ 資源予約(この資源をこれだけ使いたいのを決める技術) ・ 実行時間Cとし、GPUで実行するたびこの実行時間が消費されていく       →予約した分使い切る        →予約した分使い切ったので実行できなくする      →他のタスクを実行する ・ だれでも使っていい資源、簡単にアクセスできる    →GPUに大量に実行するものを送る         例:裏で意味のないものを走らせる ・ 優先度を与えることで、4倍実行をできる ・ 制限をつける(例:意味のない処理は10%まで)   →実行したいものを実行できる ・ 自動運転:前のカメラを優先したい(右や左のカメラより) ・ 干渉が起きてしまい、うまく割り当てられない ・ 優先度を与えるとばらけるが、低優先度のもので実行できないのが出てくる ・ 資源予約をしてあげると、安定する ・ GPUの優先度付けできる機構、アイソレーションの機能が必要だった ・ スケジューリングやリノベーションの技術を用いた   →このように考えると国際会議通ります * 質問 ?リザベーションで、復活させる時の幅の基準点? ・ システムを作る人が決める ・ 0以下になったとき → 一定の期間で復活する ・ マイナスから復活する(使い切ったところ+C) ・ 2番目の実行が長いとそいつがとり続けてしまうので ・ 今回のテストはGPU一個、複数になるとどうなる? ・ GPUは、アーキテクチャが公開されてない ・ 何もわからないデバイスに、適当なデータを送り ・ リバースエンジニアリングで解析 ・ 力技 ? マルチになるとコンセプト的にさらに難しくなる? ・ ヘテロなもののフレームワークになるかも? (3)「無線信号処理向けのアレイプロセッサにおけるプログラマブルデータの並び替えユニットの実現」 小堀友義(NEC) * 自己紹介 ・ 95年に筑波大入学 ・ 04年に博士号を取得 ・ NEC入社 ・ 無線信号処理向けのプロセッサの実現 ・ FPGAを用いた流体のシミュレータを作っていた(大学時代) * 研究所 ・ システムIPコア研究所メディアアーキテクチャテクノロジーグループ ・ NECの装置・端末の競争力向上に貢献するアーキテクチャ、アルゴリズム、設計技術、回路技術の研究 ・ 装置や端末の中で機能を実現するコンポーネント(チップ・プロセッサ・メニーコアなど) ・ ハードウェアや、うまく使うためのアプリケーション、コンパイラなど もけ研究開発 ・ システムIPコア研究所メディアアーキテクチャTGに所属 ・ つなぐとみるで、社会に貢献 ・ 無線と画像認識 ・ つなぐ(無線)を担当:ソフトウェア無線に特化したベースバンド処理のプロセッサ * 研究背景 ・ ベースバンド処理プロセッサ研究開発の背景 ・ PAN,WLAN,WiMAX,3G/LTEなどがたくさんあり、それぞれに対応した装置を作らないといけない ・ 進化のスピードが速い ・ 100M超える伝送速度 ・ 次世代の無線には演算量が必要      →高性能+柔軟性なプロセッサが必要 * 研究説明:無線向け信号処理向けアレイプロセッサ CORSAEngine ・ 次世代の無線処理に特化したもの ・ 行列演算ができるようなものをアレイ上に配置 ・ 柔軟性を持っている ・ 他社の2倍くらいの性能 ・ 中の演算機を効率に利用できる ・ 基地局の装置にこれが稼働 ・ LTE(4G世代)ではベースバンドの処理が5倍 ・ 基地局のバリエーションが増えている(マクロ・ピコ・フェムト・・・) →より高い柔軟性と演算能力が必要とされる ・ ROU:データの入ってきたものを並び替える ・ 入ってくるデータを並列に、うまく処理できるように並び替える ・ アレイの動作に適した形に変える ・ メモリがたくさん:HWリソースが必要 ・ メモリが小規模でできるアーキテクチャを提案 ・ 提案するROUのコンセプト ・ 制御系のメモリのアクセス頻度に注目して、うまく下げられるような形式に変換する   → メモリが一つになる ・ 内部でプログアムを実行する形式にし中で制御する形にした   → メモリのサイズ30%減 * まとめ ・ データパス・制御両面において従来のROUの30%メモリ削減 ・ PNアレイ全体のリソース削減にも有効 * 質問 ? 消費電力の項目がなかったが? ・ メモリのリソースが減っているので減っていると思う ・ 無線通信のシステム(携帯端末で電力)は重要なファクターだ が、現状の携帯の基地局は、端末ほどシビアではない ? メモリが削減できると何が嬉しい?直感的には消費電力だとおもうが? ・ ハードウェアのリソースが減る ・ チップが小さくなる ? メモリ削減は、性能にもいい?? ・ 性能的に言うと今回の場合はあまり変わらない、ハード規模にかかわる 3 パネルディスカッション ・ 即答えてください ・ 厳しい場合、何人中何人 質問1:今後チャレンジしたいこと、今までの最大の決断は?(20代専門学校教員) 石郷岡氏:今後挑戦したい事     ・イノベーションをしたい     ・ドクターをとりたい 最大の決断 ・25歳で結婚 ?就職してから博士号だと、補助がある? ・日立は、博士の支援制度がある ・企業の研究所で博士を持っているかは反映されるか? ・日本では、初任給が変わるくらい(仕事するうえでは関係ない) ・アメリカは、博士がないとダメ 小堀氏:今後挑戦したい事      ・次ので、また事業部に使われる最大の決断     ・大学の時に、ドクターに行くのを決めたこと   ?どうしてドクターに行くことを決めた?   ・就活もしていたが、その時は大学でやっていた研究が昔は全然使われていなかったので先端の研究ができると思った   ?研究が好きで今の仕事を?   ・めぐりあわせがよかった、自分のやっていることとがっちりあっていた ・やりたいことができる   加藤氏:今後挑戦したい事 ・ 大学の所属なので、大学でしかできないこと ・ 今起こっていることを認識して(未来に直面する)   ・解決するのは5年10年後   ・原発・電力に対して貢献しようと思ってできるか   ・指導者になれるか?先輩の研究を引き継ぐのではなく   ・新しいものを作り出す ・ 研究から身を引いたら総理大臣を目指したい。 ・ 研究者で鍛錬して、政界に進出 最大の決断 ・ 特にない。アメリカに行ったこと?   ?直面する問題?もっと未来のことの方がよいのでは?   今直面していても、解決するのは5年後10年後に使えるようなもの 質問2:博士をとったほうがいいか?(30代会社員) 石郷岡氏:とったほうがいい 小堀氏:日本の中だけに納まるなら、いらない   ただ、国際的に活躍したいのなら必要。      NECではグローバス化を進めているので奨励はされている   外向けには、大きなファクターになる 加藤氏:学術界で生きていくには必要 ・ 海外ではいる。 ・ 博士号」の価値よりも、3年くらいかけて自分のビジョンをまとめて一つの成果をあげることに大きな価値がある。普通の人にはない能力。 ・ その人が何をしたいかにもよる。 ・ 海外の企業は博士があるほうが入れるし、給料も違う。   ・Google,facebook,MSなども、その傾向がある。     ?欧米のほうが学歴主義? ・ PhDを持っている人を企業が欲している ・ 欧米の博士の学生は、普通の企業の人よりお金をたくさんもらえる ・ 日本よりも、博士を取ろうと思う良い要素がある 質問3:年収は? (略) 質問4:産から学もしくは、学から産にキャリアパスを変える大変さなどを知りたい。 小堀氏:学生→産 ・ この業界だとD卒でも受け入れてくれるところが多い (会場参加者からの回答) N氏:学生→産 ・ 社会常識がない(D)   会社に入っても、お辞儀の角度・電話のとり方が分からない   →できて当然と思われる ・ 研究職でないことをすると、自分の研究以外の知識を知る必要がある ・ 企業では、お金を稼げないとダメ ・ 自分は、いくらくらいの価値か ・ それを乗り越えないといけない N氏:産→学 ・ 論文誌に載るのが難しい ・ どちらがいいかは、何になりたいかによる ・ なんで博士をとってまで普通の人生を送りたくない? ・ 博士をとると普通の人間ではない ・ 個人で世界を変えたい、自分の力で良く変えたい、若い段階で自分の力を得ないといけない ・ 論理的構成力 ・ どの分野が儲かって、どの分野が儲かっていかないか ・ 事業ドメインを変えながら研究していく必要がある ・ 自分を有名にしていく・コミュニティ広げる・学生を雇うなどマネージメントも必要      → 30になるまでに全てできると、T氏のようになる ・ 自分が何歳までに、どれだけでかいことをしたいか ・ 企業に入るとまずない ・ 海外の大学で研究をしていると、一種のアイドルのようになれる ・ 企業では、100億円のプロジェクトを動かせる ・ 世界を変えたいなら博士はいい   D氏 ・ 大学で7年勉強→大学リサーチャーPhD→社長になって10年ぐらい ・ 学生時代研究者になりたかった ・ 研究者にとって大学で何が大切か ・ PhDを取りたい人は取るべき ・ 他の人と話してディスカッションすること ・ アウトコミュニケート、誰と何をするかが一番重要 ・ プロフェッサーは、いつも正しいわけでない LOL ・ コミュニケーションは大事 ・ やりたいことを見つけ、議論すること、それが大事 ・ 賢いことが重要ではない ・ コラボレーションが大事   ?下呂とこの学会の印象は? ・ かなり違う ・ 他のカンファレンスと大きく違う ・ 座敷・魚・ビール(重要) ・ それを誇りに思わないといけない ・ ドイツでこのスタイルを広めてください 以上