********************************************************************** セッションS2-c チュートリアル1 テーマ:ARTOP from a tool vendor perspective 講師:Loic Queran 氏(GEENSOFT) 日時:2010/09/03 9:00〜10:30 参加人数:20名程度 ********************************************************************** あらかじめ案内している発表者と違う. 資料も予稿集に掲載していない(別刷りにて配布). 最初にAUTOSARとARTOPについて,簡単な紹介を行う. その後に,ARTOPについて詳細な話を行う. AUTOSAR(AUTomotive Open System Architecture)は車載アーキテクチャのオープ ンスタンダードを作ることを目的とした組織である.150社のパートナーがいる. コアメンバーにはトヨタなどがいる.膨大な仕様は,パートナー向けに subversionリポジトリを用いて配布される. 組込みシステムは複雑化が進行して,品質と信頼性も求められる.異なる自動車 で共通するソフトウェアモジュールが使えることが求められる. AUTOSARでは,アプリとハードウェアを完全に分離させる.レイヤーを作り,レ イヤー間のインターフェースを共通化することで,異なるハードウェアでも同じ アプリが動作できるようにしている. AUTOSARでは方法論を定義している.なにを作り,どのような順で開発を行うか が定まっている.SW-ComponentやECUのリソースなどはモデルに従って記述し, コードをツールで生成する. AUTOSARはスタンダードを作るのが目的で,全てのアスペクトを表現することは できない.方法は定義しているが,どう実装するか(ツールや言語など)は定義 していない.これは各メーカーが自由に使って良い. しかし,実装は大変である.メタモデルごとに700クラスあったり,4つのバージ ョンがあったりするので全てをツールで行うのは難しい.実装が自由ではあるが, AUTOSARのとおり実装するのは難しい.ツールメーカーがこれを解決するのは難 しい.なにかリファレンスがあると良い. 従来のものをAUTOSARに適合させる,という(レガシーな)手法があるが, AUTOSARの利点を生かしきれない.一方,メタモデルから実装するという手法で は,オープンツールフレームワークが必要.また,カスタマイズでき,各社が協 力して良いものを作り上げるというものが求められる.過去にJavaの実装を提供 したことがあるが,closedなものだったのでうまく行かなかった. 以前,Eclipseを利用したフレームワークを作成した.しかし,そのまま使える わけではなく,generation framworkに改良の余地があった.次に, ATDK(Autosar Tool Develepment Kit)を作成した.いくつかの会社と協力した. ARTOPでは,ツールが共通して必要なものを提供する.ARTOPのユーザグループに はAUTOSARメンバーが加わっている. ARTOPによって,各社がそれぞれ開発していた共通部分を共有することができる. ARTOPにはAUTOSARのメンバならアクセスできる.Subversionリポジトリやウェブ サイト,メーリングリストなど,開発に必要な環境がそろっている. ARTOPではレイヤーをECLとAALに分けている.ECLではAUTOSARに依存しない. バージョンごとに異なる部分も定義したAPIを用いることで,依存性をなくして いる.他にExtender pluginによって,モデルを拡張することができる. ARTOPの多くのメンバが自由にアクセスでき,フィードバックを得て改良するこ とができる.ツールベンダとして大きいのは,Continental, BMW, GEENSOFTであ る.我々の作成したものは,カーメーカに使われている. 例えば,Continentalは有料のARTOPを提供している,という勘違いがあるが,そ うではない.最終的に提供されるものはツールベンダが決め,ARTOPは共通部分 を提供する. 開発には,ARTOPに関する知識も必要となる. 実製品についてベンチマークをした.GEENSOFTのツールは,ARTOPのものより条 件が厳しかったので,メモリピークは半分程度になり,パフォーマンスも向上し た.ARTOPはAUTOSARに最適化していない部分があるので,ARTOPのものが悪いと いうつもりはない.ARTOPは一般化することのほうが重要である. 最適化したもののいくつかは,ARTOPへのフィードバックすることができる. 時間が足りなくなったため,Q&Aなし. ■まとめ AUTOSARに従って開発をするために用いるツールの標準をARTOP(AUTOSAR Tool Platform)が作成した.これによりツールベンダ各社が同じような部分を独自に 開発する必要がなくなった.各社はARTOPをベースにツールを作成できる. 以上.