********************************************************************** セッション S3-d 「組込み業界の新3Kを考える 〜幸せとは何かを見つけよう!〜」 コーディネータ:森川聡久(ヴィッツ) 参加者:17人(社会人15人,学生2人) (注:○は参加者の意見) ********************************************************************** ■11:10 開始 ○講師の自己紹介と現状 現役の組込み技術者だが,楽しいこともあればつらいこともある. ○組み込みシステム開発の現場 3K: きつい,厳しい,帰れない 7K: 3K + 規則が厳しい,休暇がとれない,化粧がのらない,結婚できない ○組み込み業界は幸せなの? このワークで技術者の現状を確認し,新3Kを良い意味で再定義しよう! 参加者の皆さんや日本の組み込み技術者が幸せになる術を見つけよう! 4,5人×4グループで作業 各グループに付箋紙,模造紙,ペンを配布 本ワークではKJ法を使う. 断片的なデータの整理手法で,新たな発想の創造や問題解決に有効である. ○KJ法の手順 (1)カードの作成 1つのデータを1枚のカードに要約し記述する. 今回は,現状で感じていることをカードに書いていく.良いこと悪いことは問わない. (2)グループ編成 似通ったカードをグループにまとめて見出しを付け,グループ間の関係を整理する. 今回は,付箋紙を模造紙に貼り付け,グループにまとめる. (3)整理した情報の活用 分類した結果についてディスカッションし,意見を整理する. 今回は,苦しくしている原因は何で,どうすれば幸せになれるのか, ディスカッションする. ■11:20 カードの作成 各参加者,もくもくとカードを作成する. ポジティブなカードよりネガティブなカードの方が多い様子. 全員が10枚程度書いたところで次へ. ■11:30 グループ編成 データが似ている付箋紙を近い場所に張り,グループを編成する. 編成したグループにペンで見出しを付け,グループ間の関係を整理する. カードをプラス面,マイナス面で大別するグループが多い. 見出しの横に記号を付ける,付箋紙の色を分ける,などの工夫がなされる. ■11:45 ディスカッション どのグループも活発な議論が交わされる. 模造紙を追加したり,立ち上がって議論するグループもあった. ■12:05 各グループのディスカッションの結果を発表 ●Aグループ <プラス> ものづくりの楽しさ <マイナス> 時間 スキル・教育 待遇 コミュニケーション 家庭 負荷 環境 <意見> 改善すべき関係 ・スキルの向上につれて負荷は減るはずだが,実際は仕事が集中するため負荷が増える ・スキルの向上につれて待遇が良くなるはずだが,実際はそんなに良くなっていない. 負荷が増え,かつ待遇も良くならないので,プライベートな時間でも幸せを感じづらい. 負荷分散が重要である.スキルのある人に頼り過ぎる状況は良くない. 技術者は待遇向上をもっと要求するべきだ. (経営者の立場からの意見)新卒の社員への待遇は, 今の仕事に対してではなく,将来の仕事に対してのものである. 若いときの待遇が低いのは我慢してほしい. 外資系金融が待遇良く,ものづくり技術者が待遇悪いのはなぜ? 技術者の待遇が悪いのは,技術者の社会的地位が低いからだと考える. 技術者の地位向上のために何をすれば良いのだろう? お金よりものづくりの楽しさが大事,という意識の技術者は多いが, それに社会が甘えてはいけない! 技術者の社会的地位,待遇の向上は,技術者の幸せのために必要不可欠である. ●Bグループ <プラス> 知的好奇心 — 交流 社会貢献 — 達成感 修行 <マイナス> 話が通じない バカな上司 ハードワーク やりたくない <意見> ハードワークだからこそ仕事の達成感があるのだが, きつすぎると達成感を得る前に倒れてしまう. 新3Kを提案.交流、貢献、好奇心. これらの要素を満たせば,技術者は幸せになれる. (発表者の学生に対し)この業界に就職したい? →ものづくりが好き,という気持ちが大きい.就職したい. ●Cグループ <プラス> 社外交流 → 創造性 小さな幸せ・自由 → 希望 チームワーク <マイナス> 人不足・時間不足 → 疲労 スレ違い 目標喪失 組織 外乱 <意見> 人不足と時間不足が,悪い意味で相乗効果を生んでいる. マイナスの項目は,すべて「疲労」に集約される. 社外交流により人不足,時間不足が解消できれば,幸せになれる. 小さな幸せを希望に感じている. ・ニコニコ動画デビュー ・仕事中にコーヒー飲み放題 ●Dグループ <プラス> 最先端 仕事の自由度 好きな仕事 交流 <マイナス> 日本的企業風土 健康(+−両方) 給料 労働時間 <意見> プラスの各要素がよい循環を生むとき,幸せを感じる. 技術者を苦しくしているのは,日本的企業風土でないか. 優秀でスキルのある人ほど,管理職を任せられる傾向が強い. 本来やりたい仕事ができない状況にさせられる. リソース不足で仕事を断ることは辛いかもしれないが, 断らなければならないほど頼られていると捉えれば,幸せなのではないか. ■まとめ <キーワード> 時間,お金,技術者の地位 交流からプラスが多い 交流,貢献,好奇心 日本的企業風土 (管理者の立場からの意見)技術の面白さとマネージの面白さは, 必ずしも相反しないのではないか. 管理職はそんなにイヤか?→参加者の2/3が挙手,みんな現場で働きたい! しかし,管理職にもメリットはある. ポジションが上がるにつれ自分の意見が通りやすくなる. 上司の言うことを聞かなくていい! それぞれに面白さを見出せれば,みんなが幸せになれるはず. 12:35 終了