********************************************************************** セッションS1-c 分科会1 テーマ:実践!なぜなぜ分析パート2 コーディネータ: 間瀬順一(アイシン・コムクルーズ) 日時:9/4 20:40-22:50 参加人数:約30人 ********************************************************************** ■議事録 ----------- 移動に時間がかかったため、20:40まで待つ (予定では20:30開始) ----------- M氏:実践!なぜなぜ分析パート2を始めます。 用いる資料は、予稿集の原稿とは変えさせて頂きます。 パート1はSWEST9でデンソー佐藤さんが行ったもので、パート2はこれを参考にしています。 発生した問題をネタにして再発防止策を考えます。進行(予定)は以下のように行います。 --------- ・はじめに ・自己紹介 ・導入とチーム作り ・なぜなぜ分析の手順紹介 ・演習1 ・4M5E分析手法の紹介 ・演習2 ・まとめ --------- ではまず、自己紹介します。昔、学生のころは数学を専攻していました。 その後ネットワークアプリケーション開発の仕事に移りました。 2000年問題のときには情報システム開発も担当していました。 今やっている仕事は、バス・トラック向けAT 制御ソフトウェア開発で、 最近、教育も担当しています。 これからやる仕事はなにかわかりませんが、なにかの製品開発に関わっている だろうと思います。バスでATだったら、ほとんど私が関わったものです。 私はIT系業務のときは成功/失敗に関わらずあまり、 プロジェクトの反省していませんでした。 このワークで大きな成果はでないと思いますが、ぜひ持ち帰って会社でやって欲しいです。実際に、社内ではなぜなぜ分析を実践することで成果が出はじめています。 SWESTでは(特に夜の部は)恥はかきすてだと思って積極的に関わってください。 ----- 20:50 6,7人ずつ、4チームにわかれる チーム名は以下 いぬさんチーム うさぎさんチーム ペンギンさんチーム ねこさんチーム ----- M氏:グループ内で自己紹介となんでもいいので失敗談を語ってください ----- 20:55 各グループで自己紹介と失敗談を語りあう ----- @いぬさんチーム T氏:最近の失敗談では、デバイスドライバが動かないというのがあった。 原因は、メーカーなんですが。 I氏:OSの移植でテスト。 H氏:荷物を取り忘れて遅刻した。 A氏:喫煙室で予約していた。 B氏:航空機のチケットを日付を間違えていてごねていたら結局は乗れた。 失敗を認めなかったら失敗にならないんじゃないかなぁと思います。 C氏:浜松駅でバスの乗り場がわからなくて遅れそうになった。 D氏:再配達を依頼したら来なかった。なんでだろうと思ったら翌日に来て、 再配達依頼の返信メールをいらないことにしていた。 E氏:客にソリューションを出す仕事で、まとまりかけたところで違うと言われて、 そこから死ぬ思いでやり直した。 D氏:去年面白かったので参加している。去年はまとまらなかったが、 積極的に話す人が固まっていた。なので自分もできるだけ話そうと思っている。 ----- 21:05 講義に戻る ----- M氏:予稿集ではなぜなぜ分析となぜなぜ解析という言葉が混ざっていますが、 修正版のスライドでは分析で統一しています。 ---------------------- なぜなぜ分析の手順 ・問題を認識する ・原因を探す(なぜ1) ・原因をその原因を探していく(なぜを繰り返す。5回が目安) ・本質的な原因が見つかる ・本質的な原因に対して、再発防止策を立てる ---------------------- M氏:不具合が仮に設計の問題で発生したとします。材料が悪い、など 本質的でない原因だと思ってしまうことがあるのではないかと思います。 ---------------------- (ちょー)簡単な例の紹介 頭に怪我をした →なぜ1 天井が低くなっている箇所がかたい →なぜ2 低くなっている箇所に保護材がない →対策 保護材をはる 実際には、「なぜ」はもっと枝分かれする --------------------- M氏:問題に対して複数の枝があって、対策も複数ある。 なぜなぜ分析のポイントを説明します。 ・問題を整理して、事実をしっかり把握する。 問題となっている部分のしくみや役割を理解する。 ・簡潔に「○が○した」という形にする。 ・現象に対して要因がすべて挙げられているか。 ・再発防止策につながるような要因がでてくるところまで「なぜ」を続ける。  愚直に「なぜ」が出てくるかを考える。  1回ではなかなか出てこない。5回が目安。 ・最後のなぜから現象までさかのぼって正しいかを考える。  ちょー簡単な例では、保護材がなくてかたい。かたいから怪我をしたとさかのぼれる。 ・真因と対策が裏返しになっていることを確認する。 なぜなぜという言葉は子供っぽいが、私の周りはこれで通じる。 なにかかっこいい言葉があればいいのですが。 それでは、私の身近な例について説明します。 ------------------- 私の身近な例 8月に起こった。 競輪の電話投票の権利が失効した。 →なぜ1 1年以上電話投票をしなかった。 →なぜ2 (失効しないために)次、いつ投票をすればよいかわからなかった。 →なぜ3 投票予定日時をスケジュール表に書いていない。 →なぜ4 いつ投票するか決めていなかった。 ------------------- M氏:真実は興味なくなったということだが、説明用にするために一本にしています。 実際にやる際にはもっと枝を書きます。 ------------------- 再発防止策 問題:競輪の電話投票権利が失効 真因:いつ投票するか決めていなかった。 再発防止策:競輪はもうないが、実は競馬の電話投票権をもっている。       いつ投票するか決める。 →ダービー(6月)、有馬記念(12月) スケジュール表に明記する。よく見るのは会社のスケジュール表。 →会社のグループウェアに明記。 →これにより失効しないことが期待できる。 ------------------- ------------------- 演習1 自己紹介で話題となった失敗談をひとつ選んで なぜなぜ分析を行ってください。 真因の分析、可能であれば、再発防止策について提案してください。 一部のチームに発表してもらいます。 ------------------- M氏:紙に書いてなぜなぜ分析を行ってもらいます。 --- 21:30 各グループに紙が配られて、なぜなぜ分析の演習1 --- M氏:分析されることによって利益があると思います。 事前に個人を攻撃するものでないものを確認すべきです。 チームによる原因なのか個人による原因なのかを分けると色々でてくると思います。 --- 21:53 - 21:55 うさぎさんチームの発表 --- ポジションペーパーを書き忘れた。 →めんどくさい  →書いてもメリットがない   →書けばお金がもらえる(キャッシュバック)   →利益があれば良い →〆切りが過ぎていた。 →提出のメールを読んでなかった。 M氏:他人から意見をもらい、色々意見がでてくることが重要です。 中には真因にならないものもあります。全部の理由を出すのは大変です。 一人でやるよりはみんなで意見を出し合えばよい意見がでるというのが なぜなぜ分析の根底にあるのです。 講義に戻ります。 ------------------ ヒント やってみるとつまる場合はありませんか? 役立つ手法を教えます。 4M5E分析手法 原子力安全技術センターが策定 http://www.n-iinet.ne.jp/4m5e.htm 要因の4M Man(人)  作業者の心身的な要因、作業能力的な要因 Machine(設備、機器)  設備・機器・器具固有の要因 Media(環境)  作業者に影響を与えた物理的、人的な環境の要因 Management(管理)  組織における管理状態に起因する要因 ------------------ M氏:これをガイドラインになぜを考えるとわかりやすい。 URLから詳しいマニュアルがダウンロードできます。 ----------------- 対策の5E Education(教育、訓練) Enginnering(技術・工学) Enforcement(強化・徹底) Example(模範・事例) Environment(環境) ------------------ M氏:対策よりも要因のほうが重要です。対策が十分かを見るときに5Eを使うと良いです。 ------------------ なぜなぜ分析時に気をつけたいこと。 本気で取り組みましょう。  不具合が発生したときに対策をすることが多い。  みんなが本気で考えないと成果がでない。  トヨタ流のKAIZENも根っこの考え方は同じ。 improvementとは違うとらえ方をされている。  みんなが本気で考えて取り組むというニュアンスがある。 ------------------ M氏:なぜなぜ分析はとても時間がかかります。 私もある失敗に対して、8回やりました。 本気で直したかったからそれだけやりました。 ----------------- 気をつけたいこと(続き) ソフトウェアの分析は、個人攻撃になりがち。 チーム対問題になるように取り組みましょう。 自由に意見が出せる雰囲気を壊さないようにしましょう。  多様な意見から考えるのが重要なので 悪いという言葉は避けましょう。 ----------------- ----------------- 演習2 2005年12月8日に発生した、誤発注に伴う巨額損害発生問題(ジェイコムショック) 61万円1株で売り →1円61万株で売り →警告を無視して発注(問題1) →買い注文殺到 →バグにより取り消しできず(問題2) →407億円損害発生 ------------------ M氏:担当以外の技術者が前提を理解するのに時間がかかるので、 組込みの知識が少ない技術者でも参加しやすいものにしました。 情報システム学会が分析した資料などを基に分析してもらいたいと思います。 時間がないので、やりやすい問題1でやってみてください。 ---- 22:20-22:40 各グループで議論 いぬさんチーム発表 ---- なぜ問題を無視したか。 (4Mを使って分析した) Man オペレータが警告を理解していない。 Machine 1円で発注できてしまう。 →限度額が決まっていない。 →発注禁止要件が決まっていない。 Media 発注を急がされている。 Management なし。 M氏:とにかく意見を述べるのが重要です。つまったときには4Mを考えてください。 いぬさんチームはこれをやってもらえたので嬉しかったです。 情報システム学会が分析した結果はお茶を濁しています。 みずほ証券と東証が裁判で争っているため、本音がいいにくいという事情があります。 でも、これでは問題の本質を解決できない。 →ちゃんと分析できてない! http://issj.nuis.jp/teigen.pdf M氏:問題があって解決しようとする取り組みはあっても本質を解決できないといけない。 このワークでやったことは情報システム学会がやったものよりは価値があると思います。 ---------------- まとめ なぜなぜ分析はいかがでしたか。 重要な点は以下です。  問題について、全員の認識が深まること  有効な再発防止策を立案すること ---------------- M氏:若い方がたくさんいたので良かった。 上司から言われてやるのではなぜなぜ分析はうまくいかないのです。 このSWESTを上司に遊びだと思われている方いますか? (1人挙手) SWESTのなぜなぜ分析でトヨタのKAIZENの本質を学んだと言っていいです! そして今後、有効に活用できた!などの事例があればパート3をお願いします。 予稿集の内容がわかればなぜなぜ分析ができますが、 たくさんの事例を知りたい方は予稿集に載せた本を参照ください。 (小倉仁志著「なぜなぜ分析徹底活用術」) ありがとうございました。 ■まとめ ・なぜなぜ分析で全員の認識を共通化し、問題に取り組むことが重要 ・本気で取り組まないと本質的な解決,有効な再発防止策にならない