********************************************************************** セッションS4-b チュートリアル2 テーマ:QFD(品質機能展開)を使ってみよう。実践!コ‐デザイン 講師:高野裕之(東芝セミコンダクター社) 参加者数:約25名(開始時) ********************************************************************** ■チュートリアルの目的 演習で手を動かしながら試してもらう →説明はコアの部分のみ簡単に済ませる →手を動かしてレビューし合い,大事な部分を学んでもらいたい ■品質と企画 ユーザーから見た製品の品質 ・当たり前品質 :抜け落ち→不満 ・魅力的品質 :売れるために必要 要求を仕様へ ・ユーザーの要求が重要 要求から仕様を作る企画段階が重要 ・企画/仕様が悪いと,設計品質をいくら上げても顧客満足につながらない ■QFDの概要 QFDの役割 ・要求を決める部分はQFDは何もしてくれない ・要求の重要度の把握にはQFDは関与しない ・要求や重要度を把握した上で,それを仕様に反映する際にQFDが役に立つ QFDとは? ・要求/重要度を製品仕様に「ちゃんと」反映させるための手法 →ちゃんと:要求と仕様の関連を,明確にレビュー可能にする ・従来の方法との差 ・従来は… 要求→仕様を「直接,文章で」行う ・恣意的なものになりやすい ・OFDは… 定量的指標をはさむ→「ちゃんと」度向上 ・完全に恣意を除くことはできないが、従来よりも抑えることができる QFDの流れ ・2段階の表を利用 1:要求→定量指標 2:定量指標→仕様項目 ・厳密に順番が定義されているわけではない → 必要に応じて何度も戻って見直すことが重要 ■実践(演習) 課題:「自分の健康」企画 要求元:自分 表1:要求→定量指標 ・表の行に要求を記述 ・表の列に「(潜在的に)定量的化できる」指標を記述 ・要求に重要度を10段階で設定 ・要求と指標が交わるセルに関連の度合いを記述(0,1,3,9点のどれかで) ・指標の重要度を計算 表2:定量指標→仕様項目(対策) ・表の行に指標(表1と同じもの)を記述 ・表の列に対策を記述 ・指標の重要度を入力(表1で計算したもの) ・指標と対策の関連度合いを記述(0,1,3,9点のどれかで) ・対策項目の重要度を計算 応用として,対策項目のコストも記述して実施優先度を決定する ■参加者の方の演習結果紹介 一人目 ・問題点 ・QFDはトレードオフを定量化するが,1対1の対応にしかならない場合は要注意 →1つの行や列に関連度が1以上のものが1つしかない場合,評価指標の項目が 足りていない可能性がある ・似たような指標を定義してしまうと評価が二重になり,重要度が変わってしまう 可能性があるので注意 二人目 ・問題点 ・一人目と同様に,1対1で対応付けられる項目は要注意 ・関連度は,重要度とは分けて考えるようにする →関連度を記入するときに,重要度に引きずられてしまうことが多い (重要度が高い要求の場合に指標との関連度も高くしてしまう など) ■講師の作ったQFD表を見ながら ・問題点 ・要求との関連度がすべて1や0といった低得点だった場合,要求を取りきれてない 可能性もある ・指標の項目数は抑える →説明の際に多すぎると不都合が出る ■QFDの制約について ・要求と指標,指標と仕様項目の関連度合いは,ポジティブな意味での関連度合いだけ 入力しなければならない →痩せたいという要求に対して 運動量を増やす→要求を満たす意味合いで関連する 食事量を増やす→要求を阻む意味合いで関連する 上記二つを同程度の関連度で扱うと不都合がある ■表の見直しの視点 ・点数つき(1点以上)のセルが一直線ではないか? ・ずっと1対1対応になっていないか? (演習終了時,時間の余裕があったので,FMEAおよびタグチメソッドについて講義する ことに) ■FMEA:故障モード影響解析 要求をもとにそれが持つ問題をチャートを用いて評価する プロジェクトのリスク分析用途が主 ■タグチメソッド: 振る舞いや物理現象におけるばらつきを回避するための手法 ノイズによる出力のばらつきを回避する方法として… →ノイズを受け入れパラメータで何とかする ユーザーに保証するべき条件:誤差因子 設計者が決定可能な条件:制御因子 誤差因子による出力のバランスを制御因子を用いて抑える 特徴: ・ばらつきとセンター値への影響をまとめて評価する