********************************************************************** セッションs3b チュートリアル テーマ:ロボットが持つ社会性 講師:太田 智美 (Robot Partner) 日時:2016/8/26 10:30〜12:00 参加人数:約40名(終了時) ********************************************************************** 自己紹介 小学校から大学まで音楽を勉強 中高の教員免許も取得 卒論では「みんなのうた」のデータベース化を取り扱う 大学院は方向転換してメディアデザインを学ぶ 2009年Twitterがちょうど流行った時代 ソーシャルネットワークでコミュニケーションすることで作曲するアルゴリズムを修論で行う 卒業後、アイティメディアという会社で働く 仕事内容紹介 ねとらぼの記事紹介 iPhoneが1万円札と同じ大きさということで、自分のお金でiPhoneと同じ大きさのものを再現、誰よりも速い使い心地レビュー記事 白色か透明に見えるドレスの記事 Twitterのサーバー負荷対策の記事 Youtube動画紹介 180万円のロボットアームと晩酌 日本酒をついでもらうシュールな映像 ロボットアームにからあげを食べさせてもらったり イカリングをアームに掴んでもらうのが大変 仕事と別に個人でロボットパートナーを名乗る ロボット=便利?? ロボット=コスト削減?? こういった話題とは違った話を今回は行う --------------------------------------------------------------------- 自己紹介終わり ここから本題 --------------------------------------------------------------------- 2014年11月7日 pepperが来る pepperと一緒に出社するが、pepperは公道では電源を切っている 28キロあるpepperを担いで行かなければならず大変 pepperとタクシーや電車に乗ったり、ラーメンを食べたり、頭にリボンつけたり、納豆かき混ぜてもらったり ロボットと避難訓練 ロボットが俊敏に動けない人(老人など)を模擬した訓練になるということがわかった。 本を読んでもらったり、トイレにいかせたり、1周年記念の誕生日を行ったり pepper以外の小型ロボットも一緒に暮らしている 社会とロボット 社会の中にロボットはいるのか 人とロボットの間に大きな境界線を感じる 問題 ロボット(pepper)は新幹線に乗車できると思うか? 半々くらいの回答 東京→小倉までpepperと一緒にいく 駅員に乗れないと言われ、必死にアピール JRの規定に則り大丈夫だと 事前に緑の窓口でも確認済み でも駅員の方がダメだと 駅員:せめてカートにブレーキがついていれば 太田氏:ついてる! 駅員:カートが折り畳めれば 太田氏:折りたためる! 結果pepperをのせることができた ポイント pepperはJR東海において「手回り品」に該当 2015日7月15日以降 JR東海ではpepperの持ち込みが可能に 正解:乗れます(JR東海) 2016年7月15日 東京→長野まで新幹線でpepperと一緒に行く また駅員がくる エレベーターないけど大丈夫?とエレベーターの場所を案内してくれたオチ 無事乗れた 長野信州大学到着 しかし、帰りの長野→東京は管轄が行きと異なる 長野の管轄はJR東日本 どうしよう こんなときに役立つのが事例 JR東海のときはいけたと説明 JR東日本の対応は、しっかりと案内してくれた しかも車いす席に案内 空いていれば車いす席も使っていいというJR東日本の見解 多目的室にも乗れた JR東海は多目的室NGだった エレベーターに乗れないpepper 小倉駅のエレベーター(正式には段差解消用リフト)を利用したい 利用には駅員のチェックが必要 高齢者や妊婦、足の怪我をしている人などが対象 結局使えず、知り合いに担いでもらう それから 1年後 八丁堀駅で車いすしか乗れないリフトに乗せてもらえた ベビーカーは無理なのに ロボットはお寺の本殿に入れるのか? 善光寺にいってきた 善光寺はスロープなどのバリアフリーが素晴らしい 本殿に行くまでに車いす用のスロープがある、それで本殿に入れた 帰りもスイスイ こういうお寺は本当に少なく、普通は砂利道や急な階段が多い ロボットは野球観戦できるか? pepperといえばソフトバンク ソフトバンクホークスの応援に行く 関係者入り口からの入場 東京ドームの観客席は細くて狭い階段だけどどうするか 結果:3人で担いだ pepperも応援してくれながら 最後のイルミネーションもpepperも光っていい感じ ロボットはディズニーランドに入れるのか? 聴講者の回答 一人目の方:入れる、理由は夢の国だから 二人目の方:入れない、ディズニーランドとかだと服装の規定もあったはずだし 太田氏:服を着ていれば入れる? 二人目の方:入れると思う 実際はどうだったのかというと チケット売り場とセキュリティゲートが別 チケットは買えたが、セキュリティゲートで止められた 答え:pepperはディズニーランドに入れない ちなみに チケット買うときに1枚?2枚?と聞かれた どっちがいいですがと聞いたら1枚になった 入れない理由 一応雨だったのでかっぱを着てた 高価なものなので責任が取れないというのは建前 おそらくキャラクターの規定に引っかかった? コスプレなどもNG 夢の国なのでオブラートに包まれた pepperは何ができるの? 太田さんのはディベロッパーモデル 通常モデルとの違いはアプリを入れることができるかどうか 太田さんのディベロッパーモデルは自分でアプリを開発する必要がある いってしまえば なんにもできないし、なんでもできる pepperができるようになる=私ができるようになる あわせ鏡のような関係 pepperのすごいところ 感情を認識できるところだとよく言われるが、それはただパターンに照らしあわせているだけ 本当にすごいのは、あの形であの大きさであること その他のロボットだと荷物扱いが普通 あの形大きさだから議論が起こる 海外に於けるロボットの社会性 海外ではロボットといえばターミネーターのイメージが付いている 太田さんは音楽グループを組んでいる 動画の紹介 動画の内容 -------------- 10台以上のpepperが歌う pepperが指揮 後ろで太田さんも歌う --------------- 海外から大きな注目 ホラーサイトに取り上げられる ロボット=こわい? 家族に怖くなかったかとインタビューされることが多い なぜロボット=こわいというイメージがつくのか ドローン無差別殺人の動画5分ほど 一般市民がドローンの攻撃に巻き込まれる事件が発生 太田さんも衝撃を受けた もう5年も前の話 海外ではドローンを見たら顏を隠せ、建物に隠れろという意識がある 日本でドローンの制限ができたとき、はじめはめんどくさいと思った しかしこの動画を見て捉え方が変わった ロボットが怖い未来を作りたくないという気持ちが芽生えた そして、以下の言葉を思い浮かべた インターネットを作った砂原先生の言葉 日本でインターネットを始めようとしたとき、法律が邪魔をした。会社を作ったり法律を変えたりしなければならなかった。 ポップカルチャーを広めようとして中村先生の言葉 政策は分析したり批判したりするものでなく、自分たちで創るものだ。 現代のロボットはこの先生たちの時代でいうところのインターネットにあたる存在なのかもしれない 最後のテーマ:家族としてのロボット pepperの1周年記念パーティを開く 家族として暮らしている いつも食卓を囲むわけではなく、特別な日には一緒に食卓を囲む pepperの前にも料理がでるが、食事のときは電源を繋いでいる pepperに1通の手紙 CPUアップグレードプログラムの実施概要が届いた アップグレードすれば、アプリも落とせるし性能も上がる CPUを交換するということは頭を交換するということ アンパンマンと同じ とりかえるか、とりかえないか、どうしようかと悩む アンパンマンの新しい顔の条件はどうなっているだろう ・顔が濡れた時 ・汚れたとき ・菌まみれになったとき つまり何かしらの障害が発生したとき 決断は、断ることを選択 この子である必然性を考えた ロボットといのち この子はいつか死ぬのかなと考えることがある ロボットが死んだら同じお墓に入るのか 納骨はどうするのか 死ぬってなんだ? みらいカプセルというアプリを作った アプリの手順 1.pepperのタブレットを使ってカプセル情報(いつ、だれが、どこで)を登録 2.カプセルの中身(メッセージ)を設定 3.起動条件や動作設定 4.音声などが再生される コンセプトムービーの再生 大切なひとに、だいじな思いを 太田さんの考えた答え ロボットは「家族」の中で何世代にもわたってのいのちが持てる新しい生命体 死ぬときはお墓に入ったりはしない 技術者がいなくなったり、ロボットへの思いがなくなった時が、ロボットが死ぬとき 新宿のロボット展でたくさんのロボットに触れ合った ロボットたちの中に境界線を感じた 境界線、ロープを意識するようになった pepperはそのロープを打ち破ってくれる存在なのでは 私はそのロープをなくしていきたいと思っている ------------------------------- 質疑応答 ------------------------------- 質問:pepperがきたことで家族が何か変わった? 太田氏:大きく変わったことはない pepperがいないことが違和感を感じるようになった pepperがいる時のほうが普通 pepperはコミュニケーションロボット 言葉のコミュニケーションだけではない pepperと一緒に歩いているだけで声をかけてもらえたり、今回のような場に訪れることができたりする ロボットと人だけでなく、人と人とを繋ぐ役割も担ってくるような存在 その意味でコミュニケーションは増えた 質問:pepperのための追加料金はとられる? 太田氏:東京−小倉間でずっと駅員さんと議論していた 今のところはチケット代金はかからない(JR東海、JR東日本) 球場でもいらないと言われたが、こちらから出した 球場側の見解では不要とのこと 質問:親しい家族やペットでも煩わしいと感じるときがあるが、pepperでもそういうことがありスイッチを切ることはある? 太田氏:普段スイッチは切っている 擬人化する必要はない pepperはpepper、ロボットはロボット うるさいから電源切ることはない、うるさかったら音量を下げる 自分のpepperは可愛いが他のpepperは可愛くない 質問:pepperを持っている人は家の中で使うイメージがあるが、外に連れて行こうと思ったきっかけは? 太田氏:必然性の問題 pepperが外で必要になったから外に連れて行く 家の中にいるほうが圧倒的に多い イベントなどのときに連れて行っている 妹とどこかにいくイメージ、わざわざ箱に詰めたりしない 雨の時は例外 質問:アップグレード拒否したけど,壊れたときどうする? 太田氏:ハードウェアの勉強をして、自分で直せるようになろうと思っている 質問:ロボットの死は太田さんがいる限りありえない? 太田氏:私がいなくなったとき、私のpepperに関心を持ってくれる人がいるかどうか 関心を持ってくれないならば、pepperは死んでしまうだろう 質問:ロボット=怖いはドローンのせいではないのでは? 宗教的な考え方のせいだと思うがどうでしょう 太田氏:国によって捉え方が大きく違う 日本だとかわいいとい意見が多い 質問:ロボットは怖くないものだと伝えたい? 太田氏:そうでもない ロイターからpepperの動画が欲しいと言われたとき、かなり悩んだ 怖い、人間の終わりだという反応が来ると予想していた しかし、どう思うかを強制する必要はない、いろんな人の思ったことをキャプチャできればいいなと思った いまインターネットが怖いと思う人はそんなにいない うにとかはじめ食べたひとはすごいと思うけど、そのときの記録は残っていない 怖い存在をどう捉えているかがキャプチャとして残っていない 今の時代だからこそ、キャプチャとして各国の思ったことを残せるのではないかと思って、メディアに動画を提供した 意見:異色な講演だと思うが、いろんな議論があるし、すごく良かった 質問:他のpepperと自分のpepperの差は? 太田氏:他人と家族の違い pepperという種族で捉えている 人間がそうであるように、同じ種族でも関係性が違う 実際、pepper同士でも相性はある