***************************************************************************** セッションS3-a チュートリアル テーマ:エンジニアのためのサバイバルスキル‐エンジニアの仕事とうまく付き合うための戦略 講師:酒井 卓也氏(SWEST実行委員会) 日時:2011/9/2 10:30〜11:50 参加人数:4名 ********************************************************************* ■アジェンダ  ・アイスブレイク  ・はじめに  ・産業カウンセラーとは  ・バーンアウトとは  ・あなたの仕事との関係  ・仕事との関係改善のための4ステップ  ・エンジニアの仕事と付き合う6つの戦略  ・まとめ ■アイスブレイク  人間知恵の輪  ・5人程度で円形に並ぶ  ・両手を前に出して適当に手をつなぐ  ・手をつないだままの状態で身体を移動し、輪になる  ・輪になる過程と、輪が完成した時の達成感でうち解ける ■はじめに  趣旨  ・メンタル不調に陥る人が多い  ・仕事に燃え尽きてしまう→燃え尽き症候群に立ち向かうための戦略  ・各人がエンジニアの仕事と立ち向かうための工夫や知見を共有したい  ・予防や燃え尽きてしまったときの対処法について コーディネータとして知りたいこと   ・エンジニア特有の仕事との関係性に対する情報を貰いたい   ・エンジニアの仕事と個人のエンジニアしての特性に特化して今後の展開ができないのか考えたい ■バーンアウトとは  あなた自身、あなたの周囲の人にこんな兆候はありませんか?  ・夜ぐっすり眠れない  ・食事が美味しく食べられない  ・まとまった休みをとっても休んだ気がしないetc…  これらは抑うつの尺度として参考になる  このような状態が2週間くらい続くと燃え尽きかけていると考えられる  夜寝ているのかまたは、食事を食べられているのかを調べるのが一番てっとり早い 他者に対しては、いつもと違うと思った時の、声かけだけでも予防になる  仕事で燃え尽きる→仕事に対する意味が考えられなくなってくる  仕事との関係が良好ならば、意識しない  多少そのような時期があっても問題はないが、おかしいと思う状態が続くようだと仕事関係の見直しが必要  自分は絶対うつのような状態にならないと思っても、いつの間にか抑うつ状態になっている可能性があるので注意してほしい ■バーンアウトの由来  看護師やソーシャルワーカーといった対人援助職に特有の問題として研究されてきた  自分は使命に燃えてやってきたが、ある日突然ヤル気が無くなる人がいる  仕事に対して以下の3つの状態を示す   ・エネルギーの枯渇    →仕事をこなそうという気力が低下している   ・熱意の喪失    →仕事に対してやりがいや、意味を失っている   ・自身の喪失    →自分はうまくやれないという感じをしばしば持つ  これらはバーンアウトしたときに陥る状態  人間関係と同じように仕事とうまく噛み合ってないと生じる。そして、与えられた業務以外のところで、エネルギーを消費してしまっているためこのような状態になってしまう ■あなたと仕事との関係  仕事に対する6つの領域について仕事との関係をアセスメントする   ・仕事の負担    →量が多い、時間が足りない、複雑   ・裁量権    →自分でコントロールできるという感覚の制限   ・報酬    →得られる評価、喜び、満足を得られない   ・共同体    →上司、部下、同僚、顧客との摩擦がある   ・公平性    →人事処遇の不透明性、結果だけを知らされる   ・価値観    →組織への信頼が失われている。組織の価値観とのずれ   これら6つの関係性を数値化することにより、どこに問題があるかを明確にでき、問題のある領域に焦点をあて対策する ■仕事関係テスト<ワーク>  回答方法   6つの領域についての設問に対し、現在の仕事と、自分の望んだ仕事とのあり方とのずれを査定する   不一致を感じるならば1つのボックスにレ点を記入する。非常に不一致を感じるなら2つレ点を記入する   それぞれの領域のレ点の数を数え得点欄に記入する   6つの領域の得点の平均を求め、平均得点欄に記入する 自分が思っている通りに答えること   以下設問 1.仕事の負担の領域    ・1日に行う仕事の量    ・仕事の複雑さや難しさ    ・顧客から厳しい要求をされる    ・締切の厳しさ    ・予想もできないような出来事が起こる    ・落ち着いて仕事に取り組める環境    ・邪魔が入り仕事を中断させられる    ・顧客相手をするのに割かれる時間の長さ    ・他の人と一緒に仕事をする時間の長さ 2.裁量権の領域    ・属している部署に与えられている権限    ・自分と同僚とに与えられている権限    ・組織の重大な変革に関する情報を上司が伝えてくれるか    ・自分の仕事に影響を及ぼす決定への参加    ・会社の上層部のリーダーシップは取れていると思えるか    ・上司のリーダーシップは取れていると思えるか    ・責任を負うことに対して権限は与えられているか    ・自分の専門的判断を行使できるか    ・自分の仕事に関する決定を影響を及ぼせるだけの能力があるか    ・自分の専門判断に従う自由があるか 3.報酬の領域    ・現在の給与や利益は自分の希望にかなっているか    ・他で得られそうな給与や利益と現在の給与や利益との比較    ・仕事の成果を上司が適切に評価しているか    ・仕事の成果を上司以外の管理者が適切に評価しているか    ・定期的な業績評価が厳密に行われているか    ・仕事のしやすさに問題はあるか    ・昇進の機会に関する問題    ・賞与や昇給に関する問題    ・心から楽しめるような仕事をする時間    ・心から楽しめるような人たちと仕事をする機会が十分にあるか 4.共同体の領域    ・組織の中で起こっていることが解るか    ・組織の中でお互いに本音で話せるか    ・異なる意見を自由に表明できるか    ・仕事をするうえで他の人は頼れるか    ・同僚とお互いに助け合って仕事をしているか    ・同僚と個人的にも親しくしているか    ・職場の気さくにつきあえる人が適度にいるか    ・組織全体で目的を共有しているか    ・自分と組織が一体であると感じられるか    ・他の部署の人たちと率直につきあえるか 5.公正性の領域    ・部下を公平に扱うよう上司が気を配っているか    ・上層部が気を配っているか    ・平等に機械を与えるという運営方針があるか    ・報酬や昇進の決定手続きは綿密に決められているか    ・規則を実行するときの手続きは綿密に決められているか    ・昇給や賞与は客観的に決められているか    ・仕事のスケジュールや分担は客観的か    ・職場の人は礼儀正しく思いやりをもってつきあっているか    ・出身、文化の違いについて組織の中で気が配れているか    ・多様な経歴や能力を持った人たちに対して組織は適切に対応しているか 6.価値観の領域    ・組織の使命が遂行されるように管理をいきわたらせているか    ・組織の価値観が自分の仕事に良い影響を与えているか    ・組織の価値観が組織のすることに良い影響を及ぼしているか    ・組織がすることに不正がなく誠実であるか    ・誠実さや名誉が保たれるように管理上の努力を続けているか    ・組織の使命のために、自分が犠牲になっても構わないと考えている    ・自分の仕事は社会に何か貢献できそうか    ・自分の組織が重大な使命を担っていると確信を持って思えるか    ・組織の使命や活動が建設的であるか    ・人々の生活を良くすることに組織が貢献しているか   仕事関係テストの結果を数値化してグラフに書く   エンジニアの方でどの領域が数値が高いのか、人数が多ければ分析したかったが参加者が少ないため、有意なデータになりそうにない   おそらく年代によってもどの部分の数値が高いかは変わってくると考えられる   一番解決しなければいけないのはどこかを調べる ■仕事との関係改善のための4ステップ  問題の領域に対して次のステップで仕事との関係を改善していく  ・問題を明確にする   6つの領域のどこが問題なのか   その領域での特有の問題は何か   扱いやすいレベルまで問題を掘り下げる  ・目標を設定する   様々な解決法の中から選択肢を絞る   何が実現可能か   目標を持つことで、コントロールする力を得る  ・行動を起こす   ターゲットを設定する   自己啓発的な行動を起こす   自発的に行動する  ・経過を振り返る   小さな変化を希望に変える   何をしてどのような反応があったか検証する   いきなり大きな目標を掲げても実現は難しいので中間点を細かく決めそれらから ・実施していくことが重要 ■エンジニアの仕事と付き合う6つの戦略  点数の高い人同士で集まって話し合ってもらう予定だったが人数の都合で難しいので全体でディスカッションを実施  共同体の領域について   ・会社の風通しが一つのポイント   ・派遣の方と一緒に仕事するとき価値観の違いでうまくいかない   ・2つレ点がいてるもの    →お互いに助け合って仕事をしているか   ・各個人に仕事が割り振られてそれを個人で好きな速度で仕事をするので個人作業のようになってしまう   ・個人によって、前提が変わるからやり方を変える必要がある  報酬の領域について   ・精神的な報酬が足りていない   ・前と比べての相対評価がある   ・精神的報酬はうまくやればコスト無しで実現可能ではないか   ・評価は従業員に与える報酬のようなもの   ・評価によって昇給することに関しては、人が評価するので難しい可能性がある   ・組込み産業の報酬はどうだろうか?    →業種別に並べてみると解るかもしれない   ・遊び心を持つ時間が無い    →Googleは仕事に必要な遊び心の時間を持っているが、多くの会社では難しい    →仕事だけど楽しめるようにしてほしい→難しい  エンジニアならでは領域を考える   ・技術力の領域があるのではないか。   ・エンジニアに必要な部分    →共同体の領域    →複数人で作業する際には他の人の技量を知る必要があるのである程度人間関係が必要である    →若いうちは技術があればなんでもできた。歳を重ねるとグループで作業するので、人とディスカッションしながら行う     →対人に関わる部分が重要   ・エンジニアは技術が重要    →しかし、仕事やるなら対人関係のスキルを将来的に身につけていって欲しい →ここにエンジニア特有の課題が発生しやすいのではないか ■まとめ  バーンアウトすると本人にとっても、会社にとっても損失である  コストかけないでやれる事はたくさんある  行き詰まりを感じたら、自分と仕事とがどのような関係にあるか、見なおしてみる  年代によって考え方が変わる  エンジニアはまた別の領域を考えていく必要があると考えられる  人間関係と同様に、仕事とも良好な関係を保ち、幸せなエンジニアライフを過ごせるようにしましょう ■質疑応答 <質問者1>  組込み業界の人がコストがかからず楽しめる報酬はありますか? <回答>  人によって楽しめることは違う。しかし、技術者なので仕事中にも楽しめることがある  例:    バグ取り→熱中してしまう    ものを作って動くまでの過程が大変だが、製品ができたというのが喜び    自分の作ったものが人に使われているのがうれしい    自分の作ったので世の中を便利にしたい    →逆に、売れないとわかっているものを作らされているときが一番モチベーション上がらない    一日の中で自分が楽しむための仕事を設定する    心から楽しめる人と仕事する    会社の外に楽しめる場所を作っておく 以上