********************************************************************** セッションS3-d テーマ:エンジニアの理想的コミュニケーションスタイル 講師:酒井卓也(SWEST実行委員会、産業カウンセラー)    松崎浩幸(三菱電機マイコン機器ソフトウェア) 日時:2010/9/3 10:45〜12:10(前のセッションが超過したため開始が少し遅れました) 参加人数:30名 ********************************************************************** ■アジェンダ ○概要 ○アイスブレイク:アイコジャンケン ○はじめに ○産業カウンセラーの紹介 ○ワーク1「イメージに合う図形」 ○コミュニケーション理論(交流分析) ○ジョハリの窓 ○ワーク2「構成的エンカウンター」 ○最後に ○補足 ■概要 コミュニケーションについてワークを織り交ぜて話していきます。 僕が伝えたいのは基本的な、人間と人間とのコミュニケーション。 コミュニケーション・ふれあいをエンジニアなりの解釈で捉えられるように。 ■アイスブレイク:アイコジャンケン 2人ペア 送り手と受け手を決める 1方が送り手。 相手に顔でじゃんけんの手をなんとか伝える。 あいこになればOK。 役割を交代して繰り返し。 みなさん大体あっていますね。 あったときの感覚は? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お互いが持っているグーチョキパーのイメージが共有できた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 距離が縮まったではないでしょうか? ■はじめに 趣旨 エンジニアならではの観点でコミュニケーションを捉えられたら。 もって帰ってもらいたいもの ・あっそうか!という体験 ・コミュニケーションについての気づきと改善点 組込みソフトウェア産業実態調査の統計で対話が重要と出ている。 このワークが役立てられたらと思っています。 ■産業カウンセラーの紹介 ○酒井さん 社内のメンタル不調者が多い、仕事のプロセスをもっと改善できたら、 いろいろ改善できたらよいなぁと思って、産業カウンセラーに勉強してなりました。 会社としても個人としても目標を実現できるように援助します。 3本柱。 ・メンタルヘルス対策 ・キャリア開発援助 ・人間関係開発への援助 ○松崎さん ワークでちょっと聞きたいことがあれば聞いてください。 産業カウンセラーではないですが、交流分析という 心理学ジャンルの勉強を始めました。協会の会員。 心理学に興味を持ってもらえれば、本当を通して知識を増やしていただければと思います。 ○コミュニケーションスタイルについて 対面・電話・チャット・etc それらの手段をとっている自分自身をどう思うか。 自己像と他者から見た自分 1人では生きていけないので他者が入ってくる。 自分の持っているイメージと、他者が受けているイメージが 必ずしも一致するとは限らない。 あてはまる、あてはまらないあるかと思いますが、 周りが思うイメージを自分のイメージに合わせてほしい。 ギャップが大きいと双方にフラストレーションがたまる。 ■ワーク1 ・ペアで ・自己役:30秒間の間「自分自身について」 ・他者役:イメージに合う図形を1つ選ぶ ・役割交代 次は、お互い交換 どうして、このイメージを思ったのか。 理由を含めてイメージのもち方をシェア。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 図形はずれるが、似た図形だった。 選択理由をお互いに確認したときに、ある程度、 理由が似ていたところがあった。 図形はずれつつも、おおまかなイメージはつかめていた様子。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 相手と一緒だったという方は? あっていた方:3組 「人はそういうけど、そうじゃないんだよなぁ」という気持ちが起こったんじゃ ないかなぁ、と思います。お互いに話していただけたら。 ギャップがあるんだなぁということを認識する必要がある。気づき。 自分がどういうイメージを持ってもらっているのかというのは、 1人では確認できない。 シェアしたときに、「こういう風に感じたからこの図形を選んだ」というのを 素直に受け止めてください。ギャップがあるということを認識する。 ■コミュニケーション理論(交流分析) 4つのトピックについて ○交流分析とは transactional analysis 聞いたことありますか?データベース用語でありますね。 大衆にもわかりやすいように説明しているのが交流分析。 専門家以外にもわかりやすい エンジニアにお勧めしたい理由: ・自我「状態」 ・「構造」分析、「機能」分析 イメージしやすいのではないでしょうか? IT システムにたとえて システム間のプロトコル分析に似ているのじゃないかなぁと思います。 公式で表す理論もある。 公式のように理系の人にとってわかりやすい説明もあります。 ユースケースモデル 人(アクター)は考えて、行動して、感じるものがある。 ○自我状態 人の思考・感情・行動に影響を及ぼす心の状態のこと。 状態には3つの要素がある。 ・子供C Child: 子供と同じような考え方、感じ方、行動をとっている時の心の状態。   じゃんけんで皆さん笑っていて、楽しい状態。子供に戻ったような。 あぁいうのが子供Cの状態 ・親P Parent: 親から取り入れた周囲の大人たちの考え方、感じ方、 行動を取るときの心の状態。 ・成人A Adult: 自分の周囲の環境や自分自身について事実に基づき理論的に判断・行動している 時の心の状態。   会社で行動していると大人な行動を求められることが多いのではないかと思います。 人の心の中は PAC の3つの要素(パーツ、とはちょっと違うかもしれませんが)で 構成されています。 全体で見て P,A,C のどこにエネルギーが高まっているかで、行動が変化する。 子供のエネルギーが高ければ子供の状態、大人が高ければ大人。 発注元A:クレームの電話をかけている人A、Bへ電話 発注先B: 怒っている Parent が高い。 松崎さん:Childもちょっと高くなっているのもポイント 全体として親の状態 Bさんがひたすら謝るって満足すると Aさんが子供の状態へ。 Aが愚痴をこぼしBが誤りつつ傾聴姿勢で対応すると、 落ち着いて大人の心が強まってくる。 双方協力して再発防止に努めることで意見が一致する。 Bが変な対応を取ってしまっていたなら、 P にずっとエネルギーがたまってしまって 解決できない。 ステートマシンのように人の心も状態遷移しますよね? ソフトウェアの表現に置き換えられるあたりがちょっと面白いですよね。 ○機能分析 機能:自我状態に対応して、対話の時に使われる機能のこと。 障害が起きた、謝るなどの外的な要因で自我状態が切り替わることで機能が働く。 適切に機能しなければ人間関係がうまくいかないよ、ということ。 親Pが2つに分かれる。チャイルドCも2つに分かれる。 CP: お父さん。社会の秩序を維持するために必要な機能 NP: お母さん。思いやり思って A : コンピュータ的な余計なものに惑わされず、適切に判断する。ある意味ロボット。 FC: 大人の人でも時々、子供のように自由に行動している人もいる。 AC: 周囲に順応する機能。僕はAC がとってもよく働いてしまう。 絶えず、ほかの人の評価を気にしてしまうという自分がいます。 自分がどういった機能が強いのかを知っておくとよいかもしれません。 Webで検索するとテストするサイトがありますので、見つけたらやってみてください。 クラス図で表現すると、p.168左上 ちょっとしたお遊び。こんな風にも表現できますよね。 ○対話分析 刺激のやり取りによる反応を分析したもの。 先ほど説明した、双方出し側、受け側、C・P 等の強さによって変わる。 (同じ刺激でも)状態によって意味合いが変わりますよね。 交流するタイプに大まかなくくりが3つあります。 ・相補交流: 自分が相手に話しかけて、自分が期待したとおりの応答が帰ってくるような スムーズな交流。 ・交差交流: 相手が期待していない対応、相手が大人だと思ったら実は子供だった というような状態 ・裏面(りめん)交流: わざわざ赤字にしている。一番曲者だと思う。言葉の裏に何かを潜ませて伝える。 なかなかうまくいかない。やりがち。裏面交流はなるべくやめましょう。 相補交流: すなおなやりとり。相手の子供の部分に対して、自分の親の部分に帰ってくる。 親同士なら親同士並行に。線が交わらない交流。 交差交流: 「もたもたしていると遅刻するぞ」P->C, 「今日は休校日ですよ」A<-A 「どうしよう!」という反応を期待していたのに、「今日は休校です。」と 大人な対応をされるとむっと来る。 裏面交流: 隠された野球。「なんだろうあの人にかんじるこのもやもや感は?」となる。 相手に表現している「品物が来ないのですが…。」は裏に「何とかなりませんか?」 という意味が含まれる。 裏面にこめられた気持ちに対して返さなければややこしいことになる。 まずはうまくいっている。 裏面交流(2) 一番ややこしい交流。言葉とは別に、なんか攻撃的。 夫:「僕の万年筆どこにしまったの?(なくしたんじゃないの?)」またかよ、 という気持ち。 妻:「あなたの小物入れに入れてありますわ」また?ちゃんといれてあるわよ、 という気持ち。 表面は一見、万年筆はどこ?ここにある。というやりとり。 裏面には相手を責める気持ちが。 皮肉とかいやみを言いがちな人は裏面に意味を含ませてコミュニケーションをとりがち。 以上が、コミュニケーションのパターンでした。 裏に気持ちを乗せないで、対応しましょう。 苦手な人と対応するときに、こういうことを知っていると、少し楽になる。 ○ジョハリの窓 自己イメージと他者イメージとのギャップを示す図。 開放された窓をなるべく大きくしてください。 自己イメージと他者イメージをなるべく一致させるようにするとスムーズな コミュニケーションに。 開放された窓を広げることで、未知の窓Dが狭まる。 自分も知らない、他人も知らない部分(抑圧された部分)が減り、新しい部分が開拓 される。 自分の知らない領域を狭めるには 他人がモノを言い安い雰囲気を作って、言ってください、という取り込む姿勢を持つと 相手からのフィードバックが素直に入ってくる。 相手が知らない領域を狭めるには うそ偽りをしないで話す。相手に知ってもらえる。 ■ワーク2構成的エンカウンター 駆け足でやっていきます。後で何か本を読んで詳しく知ってもらえたら、と思います。 課題としては、ストーリーに登場する人物について個人のレベルで好きか嫌いの、 順位をつけてください。 そして、なぜその順位にしたのかを説明できるようにしてください。 グループでディスカッションをして、グループとしての順位付けを出してみてください。 4分くらいで個人での順位をつけてもらいます。 ワーク中... これからグループで順位を決めてほしいです。 司会者を作らないでください。 平均値を取るなどの取引を行わないでください。 意見を変える場合は理由を出すように。 グループの同意で出すように。 短いですが4分で(+3分追加) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 1は全員一致。 議論して、2,3をきめなければ 婚約者を3にした理由は、 証人が損をするかもしれない一方、女は特にない。 職を失うという点で共感を覚えたため 職を失う理由が、自分の職務不履行がばれる、というシチュエーションなのでは? 証人は、なにか悪いことをしていたため 女と婚約者は悪いことをしていないのに、証人は悪い。 婚約者の立場で考えたら、気がついたら恋人が浮気していた。 「職を失う、一夜をともに」バランスが合わない。 変ですよね。復縁する可能性も有りそうかな? 女性がその場で打ち明けちゃったから、わかれちゃったかな。 やっぱり、証人が変。 証人が変というのは、だいたいみんな一致。 お金は一括で払わないといけないのか? 職を失うだけということであれば、何年間か分割で払ってもいいのでは? 証人のイメージが悪くなった、変えます。 鼓舞奮闘しよう。1名まだ不一致 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 これから次に移ります。 (紙を配る) お配りした振り返り用紙に答えてください。 6段階 ・ワークへの参加度 ・メンバーの参加度 ・言いたいこと言えた? ・ みなさんで結果をシェアしてください。 結果についてシェアしてみてください。(4分) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・取引のバランスについての意見多し。 ・取引のバランスで意見が変わった ・取引のバランスでグラッときたところで終わった ・分割払いの意見にうけた。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 おわりー 本当はゆっくりとシェアしてほしかったけど。 話している間に心の動きがあったと思います。 人に話さないまでも自分の中でその感じを覚えておいてもらえたら。 ご協力ありがとうございました。 ■最後に 専門領域に関してはエンジニアどうして円滑に情報交換:当たり前。 エンジニア以外の人との仕事も増えると思うので、そういった方とのコミュニケーション が取れるように。 絶え間ない自己研鑽を。止まっていたら下がっていきますよね。 心の隅においておいてもらえたら。 エンジニアならではのコミュニケーションスタイルを確立していって欲しいなぁ、 と思っています。 ■補足 松崎さん:今日ご紹介したのはのは交流分析の一部。ほかにもあるので、聞きたければ、 私か酒井さんにお聞きください。 ■まとめ ワーク1を通して、自分が考えている自分と、相手から見た自分との間にはある程度 ギャップがあることに気づいた。その後、交流分析の理論を UML 等の図を混ぜながら 解説し、ワーク2では構成的エンカウンターの実習を行った。構成的エンカウンター ではお互いの意見がどのように影響を与え合うかを意識するきっかけとなった。